自分の知らないうちに保証人にされていた場合、保証債務を支払う必要はあるのでしょうか?
保証人・連帯保証人は、主たる債務者が返済できない場合、代わって借金を返済する義務を負う非常に重い責任を負っています。そのため、保証人・連帯保証人として返済する義務を負うかはご自身の人生を左右するとても重要なことです。
もし、家族や友人に勝手に保証人・連帯保証人にされていた場合、どのように対処すべきか、北九州・小倉の弁護士が解説します。
このページの目次
身に覚えがない請求が来たら?-勝手に保証人・連帯保証人にされていたときの対処方法
契約の内容を確認する
債権者の氏名、住所、主たる債務者の情報、保証金額、契約の日付などを確認しましょう。
可能であれば契約書などの写しを送ってもらい、身に覚えがあるか確認すると良いでしょう。
弁護士に相談する
上記の事項を確認したら契約書の写しや契約当時の状況、主たる債務者との当時の関係などを整理して早急に弁護士に相談して下さい。
やってはいけないこと
確認が終わるまで支払ってはいけない
突然、請求が来て焦って支払ってしまう方もおられます。万が一、支払いをしてしまうと支払い義務があることを認めたことになってしまい(追認)、保証契約が無効であると争いたくても非常に不利な状況になります。
電話で請求を受けたとしても、「払います」などご自身が保証人・連帯保証人であることを前提とした受け答えは絶対にしないようにして下さい。
請求が来た場合には、身に覚えがないこと、自身で保証契約をしたものではないことを伝え、契約書の写しを送ってもらうなどして早急に弁護士に相談して下さい。
請求が来たときに無視すること
身に覚えがないからといって無視を続けると債権者から裁判を起こされることがあります。裁判を起こされたのに無視してしまうと、判決が確定してしまい、保証人・連帯保証人として支払い義務が生じてしまいます。
この状況になってしまうと、保証人・連帯保証人ではないと争うことは非常に困難になります。
特に「裁判所」と書いてある書類を受け取ったとき、「裁判所」と書いてある封筒で書類が届いた時にはすぐに相談しましょう。
勝手に保証人・連帯保証人にされたのに支払う必要はあるのか
自分で保証契約を結んで保証人・連帯保証人になった場合でないとき(保証契約に同意していないとき)には、保証契約は有効に成立しておらず、原則、返済義務はありません。
しかしながら、保証人・連帯保証人の同意があると債権者が信じても仕方がないような状況だった場合には、「表見代理」という民法の規定によって、名義を使われた(冒用された)本人に契約が成立してしまいます。
例えば、勝手に名義を使われた人が、主たる債務者(勝手に名義を使った人)に白紙委任状を渡していたり、実印や印鑑証明書などを渡していた場合など、債権者からしてみれば、保証人・連帯保証人になる意思があると誤解を生じさせるような行為をしているため、信じた債権者を保護する必要があるからです。
勝手に名義を使われてしまっていても、使われた人に上記のような落ち度があった場合には、保証契約の効果が及んでしまうため、支払い義務が発生します。
一方で、債権者が勝手に名義を使っていることを知っていたとき、勝手に使っていたことを知らなかったことに過失があるときには、保証契約は無効となり、支払い義務は発生しません。
ご相談は弁護士へ
勝手に保証人にされていた場合、早期に適切に対処することが非常に重要です。
身に覚えがないからと請求書を放置するのではなく、一度弁護士にご相談されることをお勧めします。