自己破産と聞くと、自身の人生に「失敗」の烙印を押されるようなイメージを持ってしまい、抵抗感を持つ方も多いことでしょう。しかし、実際はそのようなことはありません。
自己破産は、今までの借金をすべて清算し、再スタートを切るための第一歩です。今回は自己破産のポイントや注意点について、北九州・小倉の弁護士が解説します。
このページの目次
自己破産のポイント
自己破産とは、裁判所に申立をして負債(借金)の支払い義務を全額免除してもらう手続きです。自己破産の申立をして裁判所に「免責」が認められると、すべての負債(借金)の支払い義務が免除されます(税金や健康保険料などの一部の負債は支払う必要があります)。
「免責」の対象となる債務(借金)は以下のようなものがあります。
- 住宅ローン
- 消費者金融からの借り入れ
- クレジットカード債務
- 銀行カードローン
- 事業による借り入れ
- 教育ローン
- 滞納家賃
- 滞納通信料(携帯電話代、インターネット利用料など)
- 奨学金
- リース代
- 買掛金
- 保証債務
- 損害賠償債務(悪意による不法行為に基づく損害賠償債務や故意または重過失により人の生命や身体を侵害した不法行為に基づく損害賠償債務など一部は残る場合があります)
上記の種類の借金であれば、免責される債務(借金)の限度額はありません。
多額の負債(借金)があっても適切に申立を行い、裁判所が免責を認めれば、借金の支払い義務が全額免除されるので、非常に大きな効果があります。
自己破産の注意点
自己破産は、借金の支払い義務が全額免除されるという強力な効果がある制度です。
そのため、借金の解決方法として自己破産を選択する場合には、以下の注意点があります。
一定程度の財産がなくなる
自己破産をすると、生活に必要な最低限度を超える財産については破産管財人が回収し、債権者への支払いにあてられるため、財産が失われます。
ただし、99万円までの現金や預貯金は20万円まで、資産価値がないと判断された自動車などであれば、手元に残すことが可能です。
また、裁判所が破産開始決定をした後に取得した財産は、原則自由財産として取得できます。そのため、破産開始決定後に発生した財産であれば、貯金をして資産を形成することもできます。
上記のように生活していくだけの十分な財産は確保できますので、自己破産を選択したからといってご自身の財産が全額失われるといった事態になることはほとんどなく、自己破産を選択するメリットは高いといえるでしょう。
一方で、持ち家などの不動産がある場合は注意が必要です。
不動産は、ご自身が生活をしている自宅であっても、通常は換価の対象となり、破産管財人が売却をして、不動産をお金に換えて債権者への支払いができないか検討することになります。
高額の住宅ローンがあり、支払いを維持することが不可能な状態でなければ、まずは個人再生手続きを選択して自宅を残せないか検討すべきでしょう。
ブラックリスト状態になる
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報(いわゆるブラックリスト)が載ります。
その後5~10年間は、ローンやクレジットカードなどを利用できなくなります。
信用情報に傷がつくことを気にされる方もいらっしゃいますが、多重債務となっている方の場合、他社からの借り入れがあると信用情報機関に登録されていることがほとんどですので、新規の借り入れなどできる状態ではありません。
また、債務整理をしていなくても何回か延滞をしたことがある場合には、その旨も記載されてしまうため、ブラックリスト状態になっていることも多いです。
自己破産などの債務整理を検討している状態においては、一日も早く借金問題を解決すべきであり、債務整理によるブラックリスト化を気にするメリットはないといえるでしょう。
税金などの負債は免責されない
自己破産をしても、滞納した税金や健康保険料、年金保険料、一部の損害賠償債務や罰金、扶養義務に基づく請求権(養育費など)などの債務は「免責」の対象になりません。
このような債務は、破産手続きが終わった後も支払う必要があります。税金などについては、ご自身の収入状況によって分割払いなど相談にのってくれる自治体もあります。
ギャンブル、浪費などをしてしまった場合
借金の原因が浪費やギャンブルなどによるものである場合、免責不許可事由があるため、破産管財人が裁量免責をしてよいかの調査を行います。この調査に虚偽の報告をしたり、調査に協力しなかったりすると、免責が認められなくなります。
破産管財人の指示に従い、きちんと調査に協力すれば、裁判所が裁量免責の判断をするケースがほとんどですので、不安に思う必要はありません。
浪費行為など、免責不許可事由がある場合には、相談の段階で弁護士にきちんとお話しくだされば、裁量免責が得られるよう全力でサポートさせていただきますので、ご安心下さい。
破産手続き中、一定の職業につけない場合がある
自己破産の手続き中は「資格制限」を受けるため、手続き中は、以下のような一定の職業に就けなくなったり資格の効果を制限されたりします。
- 弁護士、税理士、司法書士などの士業
- 生命保険外交員
- 警備員
- 貸金業
- 旅行業者
- 宅建業者
制限を受けても、裁判所による免責決定が出たら資格制限がなくなりますので、制限を受ける期間は3~6か月程度となります。
自己破産のご相談は弁護士へ
自己破産の手続きは、破産法という法律に則って行われますので、申立にあたっては、法律的な専門知識が不可欠です。
借金問題についての最適な解決方法は、収入の状態、資産状況、借金の原因や債務額など、ご相談者様の置かれた状況によって異なります。
当事務所では、借金問題でお困りの方に、お気軽にご相談いただけるよう、借金に関する初回相談を無料で行っておりますので、是非、北九州・小倉の当事務所までお気軽にご相談ください。