債務整理で財産はなくなる?北九州で家・車・預金を守る方法

「債務整理=全財産没収」は誤解です

借金の返済にお悩みで、「債務整理」という言葉を調べたとき、「家も車も、何もかも失ってしまうのではないか」という不安に駆られてしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、ご家族との生活の基盤であるご自宅や、通勤に不可欠な自動車を手放さなければならないとしたら、債務整理に踏み切ることを躊躇されるのも無理はありません。

しかし、「債務整理をすると、すべての財産を没収される」というのは、大きな誤解です。

債務整理は、借金に苦しむ方を罰するための制度ではありません。むしろ、返済の負担を軽くし、生活を再建するための、法律で認められた手続きです。そのため、法律では、生活を立て直すために必要な最低限の財산は「自由財産」として手元に残すことが認められています。

この記事では、債務整理の手続きによって、あなたの大切な財産がどうなるのか、特に私たち平井・柏﨑法律事務所が拠点を置く北九州・小倉地域の実情に即してお伝えします。まずは正しい知識を得ることから始めていきましょう。

どの財産を残したい?3つの債務整理と財産の行方

家、車、お金のアイコンが描かれた積み木を並べ、債務整理における財産の選択を象徴する画像

債務整理には、大きく分けて「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの手続きがあります。どの手続きを選択するかによって、借金の減額幅だけでなく、財産に与える影響も大きく異なります。「何を残したいか」というご希望は、最適な手続きを選択する上で非常に重要な判断基準となります。

ここでは、各手続きが家・車・預貯金といった主要な財産にどう影響するのか、その概要を見ていきましょう。

手続きの種類家(住宅ローンあり)車(ローンなし)預貯金・保険特徴
任意整理影響なし残せる原則、影響なし裁判所を介さず、柔軟な対応が可能。財産への影響が最も少ない。
個人再生特則利用で残せる可能性残せる原則、影響なし住宅ローン特則で家を守りつつ、他の借金を大幅に圧縮できる。
自己破産原則、手放す価値による(残せる場合も)一定額以上は処分対象借金が免除される代わりに、高価な財産は処分される。
債務整理の種類と主要な財産への影響

【任意整理】財産への影響が最も少ない手続き

任意整理は、裁判所を通さずに、弁護士が債権者(貸金業者など)と直接交渉し、将来の利息のカットや返済期間の延長(通常3〜5年)を目指す手続きです。交渉の対象とする債権者を自由に選べるため、例えば住宅ローンや自動車ローンを対象から外すことで、ご自宅や車に影響を与えることなく、他の借金の負担だけを軽減することが可能です。

原則として財産を処分する必要がないため、ご自身の財産を守りながら返済計画を立て直したい方に適しています。ただし、あくまで利息カットが中心であり、元金そのものが減るわけではないため、分割すれば元金を返済していける見込みがある方向けの手続きといえます。

【個人再生】住宅ローン特則でマイホームを守る

個人再生は、裁判所に申し立てを行い、借金を大幅に(例えば5分の1程度に)圧縮し、その圧縮された借金を原則3年で分割返済していく手続きです。この手続きの最大のメリットは、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用できる点にあります。

この特則を利用すれば、住宅ローンはこれまで通り返済を続けることでマイホームを手放すことなく、それ以外の借金だけを大幅に減額することが可能です。「家だけはどうしても守りたい」という方にとって、非常に有効な選択肢となります。詳しくは「債務整理の種類と特徴ー個人再生」のページもご覧ください。

また、ローンが完済している自動車であれば、原則として手元に残すことができます。大幅な借金減額と財産の保持を両立したい場合に、検討すべき手続きです。

【自己破産】借金をゼロにする代わりの財産処分

自己破産は、裁判所に申し立て、支払い不能であることを認めてもらうことで、原則として全ての借金の支払い義務を免除(免責)してもらう手続きです。返済能力が全くない場合でも、人生を再スタートさせるための最後のセーフティネットといえます。

その代わり、申立人が所有する一定以上の価値を持つ財産(不動産、高価な自動車、20万円を超える預貯金など)は、破産管財人によって換価(現金化)され、債権者へ配当されることになります。これが「自己破産=財産没収」というイメージに繋がっているのでしょう。

しかし、冒頭で述べた通り、すべての財産が対象となるわけではありません。法律で定められた「自由財産」は、生活の再建のために手元に残すことが認められています。どのような財産が「自由財産」として認められるのか、その具体的な基準は裁判所によって運用が異なります。詳しくは「債務整理の種類と特徴ー自己破産」のページもご参照ください。

次の章では、この記事の核心である、北九州・小倉地域における具体的な運用基準について詳しく解説します。

【北九州・小倉】自己破産で残せる財産の具体的な基準

法律書が並ぶ本棚と相談スペースが映る、信頼感のある法律事務所内の風景

ここからは、一般的な情報だけでは分からない、より踏み込んだお話をします。自己破産の手続きにおいて、どの範囲の財産を手元に残せるか(自由財産の拡張)という判断は、実は全国一律ではなく、各地の裁判所の運用に委ねられている部分が大きいのが実情です。

私たち平井・柏﨑法律事務所は、これまで依頼者の代理人としてだけでなく、裁判所から選任される破産管財人や個人再生委員という中立的な立場で、数多くの債務整理案件に携わってまいりました。その経験から、福岡地方裁判所小倉支部の実務運用を熟知しております。ここでは、その知見に基づき、小倉支部で自己破産をした場合に手元に残せる財産の具体的な基準をご説明します。

自動車:初年度登録から5年が目安

通勤やご家族の送迎など、北九州地域で生活する上で自動車が不可欠という方は少なくありません。

福岡地裁小倉支部における当事務所の経験上の運用では、目安として初年度登録から5年を経過した国産車は、資産価値が低いと見なされ、手元に残せる可能性が高い傾向にあります。これは、自動車の査定額が実質的に低く評価されるためですが、最終的な判断は車種や状態によって個別に判断されます。

ただし、以下のようなケースは例外となる可能性があるため注意が必要です。

  • 外車、ハイブリッド車、電気自動車
  • 排気量の大きい高級車
  • ヴィンテージカーなど、古くても価値が高い車種

また、自動車ローンが残っている場合は、所有権がローン会社にある(所有権留保)ため、原則として自動車は引き揚げられてしまいます。ご自身の車がどうなるか、正確な見通しを知りたい場合は、車検証をお持ちの上でご相談ください。

預貯金:総額20万円までなら手元に残せる

当面の生活費として、預貯金がどうなるかは最も気になるところでしょう。

自己破産の手続きでは、破産手続開始決定時の預貯金残高が処分の対象となりますが、福岡地裁小倉支部における実務上の運用として、すべての金融機関の口座残高を合計して20万円以下であれば、自由財産として手元に残せる可能性が高いです。ただし、個別の事情によっては裁判所の判断が異なる場合もあります。

重要なのは、「すべての口座の合計」という点です。例えば、A銀行に15万円、B銀行に10万円の預金があれば合計25万円となり、処分の対象となる可能性があります。特定の口座だけを隠したり、手続き直前に家族の口座へ送金したりする行為は「財産隠し」と見なされ、最悪の場合、免責が認められない事態にもなりかねませんので、絶対におやめください。

生命保険:解約返戻金が20万円以下かどうかが鍵

ご家族のために加入している生命保険も、簡単に手放したくない財産の一つです。

生命保険が処分の対象となるかは、その保険の「解約返戻金」の額によります。解約返戻金とは、保険契約を解約した際に保険会社から払い戻されるお金のことです。福岡地裁小倉支部の実務運用上、この解約返戻金の合計額が20万円以下であれば、保険を解約せずに契約を継続できる場合が多いです。ただし、これも個別の事案によって判断が異なる可能性がある点にご留意ください。

いわゆる「掛け捨て型」の保険には解約返戻金がないか、あってもごく少額なため、問題となることは少ないでしょう。ご自身の保険がどのタイプか、解約返戻金がいくらになるか分からない場合は、保険証券をご確認いただくか、保険会社に問い合わせてみましょう。

差し押さえのリスクと回避策

返済が滞ると、債権者は裁判所に申し立て、給与や預金口座を差し押さえることがあります。給与が差し押さえられると、手取り額の一部(原則4分の1)が直接勤務先から債権者に支払われ、生活に大きな影響が及ぶだけでなく、職場にも借金の事実が知られてしまいます。

このような事態を避けるための最も有効な策は、差し押さえが実行される前に、弁護士に債務整理を依頼することです。

弁護士にご依頼いただくと、まず「受任通知」という書面を各債権者に送付します。この通知を受け取った債権者は、法律により、債務者本人への直接の取り立てや連絡をすることが禁じられます。これにより、精神的な平穏を取り戻すことができます。

さらに、弁護士が介入することで、すでに始まっている給与差し押さえの手続きを中断させたり、これから始まろうとしている差し押さえを未然に防いだりすることが可能になります。「差し押さえ予告通知が届いた」という段階でも、まだ間に合う可能性があります。手遅れになる前に、一刻も早くご相談いただくことが、ご自身とご家族の生活を守ることに繋がります。

参考:民事執行

北九州・小倉で債務整理のお悩みは当事務所へご相談ください

北九州の法律事務所で協力して書類を確認する男性弁護士と女性弁護士の後ろ姿

この記事でお伝えしてきたように、「債務整理=全財産没収」というイメージは誤解であり、法律は生活再建に必要な財産を守るための仕組みを用意しています。特に自己破産においても、北九州・小倉の実務運用を正しく理解すれば、生活基盤を維持しながら再出発できる可能性は十分にあります。

しかし、どの手続きがご自身の状況やご希望に最も合っているのか、どの財産を具体的に残せるのかという判断は、借金の総額、収入、財産の種類など、多くの要素を総合的に検討する必要があり、専門的な知識が不可欠です。ご自身で判断に迷われたり、不安を抱え続けたりする前に、ぜひ専門家である弁護士にご相談ください。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州・小倉の地域事情に精通し、債務整理に関する豊富な解決実績を有しています。男性弁護士・女性弁護士がそれぞれの視点から、事務所全体で知恵を出し合い、あなたにとって最善の解決策をご提案します。初回のご相談は60分無料です。一人で悩まず、まずは私たちにお話をお聞かせください。

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