税金滞納と自己破産|差し押さえ・免責との関係を北九州・小倉の弁護士が解説

税金滞納と自己破産|まず知るべき2つの原則

税金や国民健康保険料、年金保険料の支払いが追いつかず、消費者金融からの借金も膨らんでしまい、「もう自己破産しかない」とお考えかもしれません。しかし、役所からの督促状を前に、「自己破産すれば、この税金の支払いもゼロになるのだろうか?」という疑問と不安が頭をよぎるのではないでしょうか。

最初に、厳しい現実と、それでも残された希望について、最も重要な2つの原則からお話しします。この2つを理解することが、あなたの生活再建に向けた第一歩となります。

原則1:税金・国保・年金は自己破産でも免除されない

自己破産の最大の目的は、裁判所に「免責許可決定」を出してもらい、借金の支払義務を免除してもらうことです。しかし、すべての支払義務が免除されるわけではありません。税金、国民健康保険料、年金保険料といった「公租公課」は、「非免責債権」と呼ばれ、自己破産をしても支払義務が残ります。

なぜなら、これらは個人の利益のための借金とは異なり、社会全体を支えるための公的な負担金だからです。もし自己破産で簡単に免除されてしまうと、社会保障制度や行政サービスが成り立たなくなってしまいます。そのため、自己破産しても税金の支払義務はなくならないのです。この点は、破産法という法律で明確に定められています。

原則2:滞納があっても自己破産を申立てるメリットはある

「税金が免除されないなら、自己破産なんて意味がないじゃないか」と感じるかもしれません。しかし、それは早計です。税金滞納がある場合でも、自己破産には生活を立て直すための大きなメリットが存在します。

例えば、税金の滞納が50万円、消費者金融やカードローンなどの借金が450万円、合計500万円の負債を抱えているケースを考えてみましょう。

自己破産手続によって免責が許可されれば、450万円の借金の支払義務がゼロになります。これにより、これまで借金の返済に充てていたお金を、滞納している税金の支払いに充てることができるようになります。つまり、自己破産は、税金の支払いに集中できる環境を整え、現実的な返済計画を立てるための有効な手段なのです。税金以外の借金も抱えている場合は、自己破産や他の債務整理を検討する価値は十分にあります。

【危険】税金滞納を放置するとどうなる?滞納処分の流れ

税金や保険料の滞納を放置してしまうと、最終的に「滞納処分」、つまり財産の差し押さえが実行されます。これは裁判所の判決などを必要とせず、行政機関の権限で強制的に行われる非常に強力な手続きです。その流れを知り、手遅れになる前に行動することの重要性を理解してください。

税金滞納から差し押さえまでの流れを3ステップで解説した図解。ステップ1は督促状の送付、ステップ2は財産調査、ステップ3は差押え実行。

ステップ1:督促状・催告書の送付

納期限を過ぎても支払いがない場合、まず役所から「督促状」や「催告書」が送られてきます。これは単なる「お知らせ」ではありません。法律に基づく手続きの開始を告げる、極めて重要な通知です。この段階で無視を続けると、事態は次のステップへと進んでしまいます。

ステップ2:財産調査の開始

督促しても支払いがない場合、行政機関は法律に基づき、あなたの財産を調査する権限を持っています。勤務先に給与額を照会したり、銀行に預金残高を問い合わせたりすることが、あなたの許可なく行われます。不動産や生命保険なども調査の対象となり、あなたの財産状況はすべて把握されることになります。

ステップ3:差押えの実行

財産調査で差し押さえるべき財産が見つかると、いよいよ「差押え」が実行されます。特に生活への影響が大きいのは以下の2つです。

  • 給与差押え:勤務先から支払われる給与の一部が、直接役所に納付されます。税金等の滞納による給与差押えの金額は、税金・社会保険料等の控除や生活維持に必要な一定額などを踏まえて算定され、一般の借金の差押えでよく言われる「手取りの4分の1」とは計算方法が異なります。滞納分が完済されるまで続くことがあり、会社にも滞納の事実が知られてしまいます。
  • 預貯金差押え:銀行口座が差し押さえられると、その時点での預金残高が強制的に引き落とされます。給料の振込口座が対象となれば、ある日突然、生活費が引き出せなくなるという深刻な事態に陥ります。

このような給与差し押さえは、まさに生活の基盤を揺るがす一大事です。そうなる前に、必ず専門家へご相談ください。

自己破産と滞納処分の関係|どちらが優先される?

「自己破産の手続きを進めている間に、役所から財産を差し押さえられたらどうなるのか?」これは非常に重要かつ複雑な問題です。法律の専門家として、この2つの手続きが交錯した際の優劣関係を、実務的な視点から解説します。

私自身、福岡地方裁判所小倉支部で破産管財人として多くの事件に関与してきましたが、この問題は自己破産を考える上で避けては通れないポイントです。北九州市やその近郊(行橋市、中間市など)でご相談を受ける際にも、この点を気にされる方は少なくありません。

例えば、リボ払いが膨らみ生活費が不足、やむなく税金を滞納してしまったというご相談は後を絶ちません。このような状況で自己破産と滞納処分が同時に進行した場合、原則と例外を正しく理解しておく必要があります。

原則:滞納処分(差し押さえ)は自己破産手続によって止まらない

最も重要な原則は、「自己破産(破産手続開始決定)後は、原則として新たな滞納処分はできないが、開始決定前に既に差押え等がされている場合は続行されることがある」ということです。税金などの公租公課は、自己破産をしても支払義務が残る「非免責債権」(租税等の請求権)に該当します。そのため、自己破産をしても税金の支払いそのものがなくなるわけではありません。

そのため、弁護士に自己破産を依頼し、弁護士から消費者金融などへ「受任通知」を送付すれば、民間からの督促や返済はストップします。しかし、役所からの督促や滞納処分は、この受任通知では止めることができません。すでに始まっている差し押さえは継続され、新たに差し押さえを開始することも法的には可能なのです。

例外:破産管財人が就任した場合の影響

ただし、例外も存在します。自己破産手続の中でも、一定以上の財産がある場合や、免責に関して調査が必要な場合に「破産管財人」が選任される「管財事件」という手続きがあります。

破産管財人は、破産者の財産を管理・換価し、債権者に公平に配当する役割を担います。その際、滞納処分によって財産の換価が進まないと、他の債権者への配当に支障が出てしまいます。このような状況では、破産管財人が裁判所の許可を得て、滞納処分の中止を求めることができる場合があります。

税金滞納は自己破産の「免責不許可事由」になる?

「税金を滞納していると、自己破産そのものが認められないのではないか?」というご心配をされる方が非常に多くいらっしゃいます。結論から申し上げますと、税金を滞納しているという事実だけで、自己破産の免責が不許可になることはありません。

免責が認められないケース(免責不許可事由)は、ギャンブルや浪費による借金、財産隠しなど、不誠実な行為があった場合に限定されています。単に経済的に困窮して税金が払えなくなったというだけでは、これには該当しません。したがって、税金滞納を理由に自己破産できないと諦める必要は全くありませんので、ご安心ください。

税金が払えない場合の具体的な対処法

差し押さえという最悪の事態を回避し、生活を再建するためには、具体的な行動を起こす必要があります。ここでは、今すぐ取り組むべき対処法を3つご紹介します。

最優先:市役所・年金事務所の窓口で分納・猶予の相談をする

何よりもまず行うべきは、行政の担当窓口へ出向き、正直に相談することです。督促状を放置するのが最も危険です。支払う意思があること、そして現在の収入や支出の状況を具体的に説明すれば、担当者も聞く耳を持ってくれます。

これにより、分割での支払い(分納)や、一時的に支払いを待ってもらう(徴収猶予・換価の猶予)といった制度を利用できる可能性があります。北九州市でも納付相談の窓口が設けられていますので、決して一人で抱え込まず、まずは相談へ向かいましょう。

他の借金が多いなら弁護士に債務整理を依頼する

税金や保険料が支払えない方の多くは、消費者金融やカードローンなど、他の借金の返済にも追われているのが実情です。その場合は、弁護士に債務整理を依頼することが極めて有効です。

弁護士が介入すると、まず受任通知によって金融機関からの督促と返済が止まり、精神的な負担が大きく軽減されます。家計に余裕が生まれたところで、改めて役所と税金の分納計画を交渉するという、現実的な解決プロセスを踏むことが可能になります。

今すぐ督促を止め、生活を立て直したい方へ
借金と税金の両方でお悩みなら、一人で解決しようとせず、まずは専門家にご相談ください。当事務所では、債務整理に関する初回のご相談は無料です。あなたにとって最善の解決策を一緒に見つけましょう。お気軽にご相談ください。

個人再生で住宅を守りつつ返済計画を立てる選択肢も

持ち家があるなど、財産を手放したくない場合には、「個人再生」という手続きも選択肢になります。個人再生でも税金そのものは減額されませんが、他の借金を大幅に(例えば5分の1や10分の1に)圧縮し、原則3年かけて分割で返済していく計画を立てます。

ただし、税金や社会保険料などは個人再生でも原則として減額されず、手続とは別に(随時)支払っていく必要があります。そのため、個人再生によって他の借金を整理し、税金等の支払いに回せる家計状況を作ることが重要になります。特に「住宅ローン特則」を利用すれば、マイホームを守りながら借金問題を解決できる可能性があります。

北九州地域における税金滞納と自己破産のQ&A

最後に、北九州市やその近郊にお住まいの方からよくいただくご質問に、Q&A形式でお答えします。

Q. 自己破産をすれば、北九州市からの給与差し押さえはすぐに止まりますか?

A. いいえ、すぐには止まりません。前述の通り、自己破産手続が開始しても、原則として市税の差し押さえは継続されます。

Q. 北九州市役所は、滞納金の分割払いに応じてくれますか?

A. はい、多くのケースで応じてくれます。重要なのは、放置せずに正直に支払い困難な状況を相談することです。

Q. 福岡地裁小倉支部での自己破産手続は、税金滞納があると厳しくなりますか?

A. 滞納の事実だけで手続きが不利になることは基本的にありません。福岡地裁小倉支部の運用でも、重要なのは債務全体に対して誠実に対応しているかという点です。ただし、多額の滞納がある場合や財産関係が複雑な場合は、破産管財人が選任される「管財事件」になりやすい傾向はあります。

まとめ|税金滞納と借金問題は弁護士への早期相談が解決の鍵

この記事では、税金滞納と自己破産の複雑な関係について解説しました。重要なポイントを改めて確認しましょう。

  • 税金・国保・年金は、自己破産をしても支払義務は免除されない(非免責債権)。
  • しかし、税金以外の借金を自己破産でゼロにすることで、税金の支払いに集中できる環境を作れる。
  • 滞納を放置すると、給与や預貯金が差し押さえられる「滞納処分」が実行される。
  • 差し押さえを回避するには、まず役所に相談し、同時に弁護士に債務整理を依頼することが有効。

税金と借金の問題は、一人で悩み続けても解決の糸口は見えません。特に、差し押さえが目前に迫っている状況では、一刻も早い対応が求められます。督促状が届いている、いつ差し押さえられるか不安で夜も眠れない、という方は、どうか手遅れになる前にご相談ください。

私たち平井・柏﨑法律事務所は、北九州・小倉地域に根差した法律事務所として、これまで数多くの債務整理問題に取り組んでまいりました。初回のご相談は無料です。あなたの状況を丁寧にお伺いし、法的な観点から最善の解決策をご提案します。一歩を踏み出す勇気が、あなたの未来を大きく変えるはずです。

本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的アドバイスを構成するものではありません。具体的な状況については、必ず弁護士にご相談ください。

監修:弁護士 平井章悟(福岡県弁護士会所属)
平井・柏﨑法律事務所
最終更新日:2026年01月05日

参照資料

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