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自己破産・個人再生・任意整理の違い|北九州の弁護士が解説

2025-11-06

【早見表】自己破産・個人再生・任意整理の主な違い

借金問題の解決を目指す債務整理には、主に「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3つの手続きがあります。どの手続きがご自身の状況に適しているか、まずはこちらの表で全体像をご確認ください。

任意整理個人再生自己破産
借金の減額効果将来利息のカットが中心元本を大幅に減額(約1/5~1/10)原則、全額免除
財産への影響原則、影響なし住宅などを残せる可能性がある一定価値以上の財産は手放す
手続きの対象特定の借金のみ選択可能原則、全ての借金が対象原則、全ての借金が対象
裁判所の関与なしありあり
自己破産・個人再生・任意整理の比較

それぞれの手続きには一長一短があり、ご自身の収入、財産の状況、そして何よりも「今後どのような生活を再建していきたいか」によって最適な選択は異なります。以下で、各手続きについて詳しく解説していきます。

債務整理とは?借金問題を解決する3つの法的手続き

債務整理とは、借金の返済が困難になった際に、弁護士が介入し、貸金業者(債権者)との交渉や裁判所の手続きを通じて、合法的に借金の負担を軽減・免除するための手続きです。

「借金のことを誰にも相談できない」「返済のために別のところから借りてしまう」といった状況は、精神的にも経済的にも大変苦しいものです。しかし、債務整理は国が認めた正当な権利であり、決して特別なことではありません。問題を直視し、適切な手続きを選択することで、生活を再建する道は開かれます。ここでは、その代表的な3つの方法をご紹介します。

任意整理:裁判所を通さず将来利息をカットする交渉

任意整理は、裁判所を介さず、弁護士が債権者と直接交渉を行う手続きです。主な目的は、今後の返済で発生する将来利息をカットし、残った元本のみを3年~5年程度の分割で返済していく内容の和解を結ぶことです。利息がなくなることで、返済のゴールが明確になり、月々の負担を軽減できる可能性があります。特定の債権者だけを対象にできるため、保証人がついている借金を除外して手続きを進めたい場合などにも有効な手段です。通常は裁判所を介さない私的な和解交渉ですが、債権者が個別に訴訟を提起するなどした場合はその訴訟で裁判所が関与することがあり得ます。

個人再生:裁判所に借金を大幅減額してもらう手続き

個人再生は、裁判所に申立てを行い、再生計画の認可を得ることで法律に基づいて借金の元本そのものを大幅に減額してもらう手続きです。借金の減額幅は、法律で定められた「最低弁済額」や、ご自身が保有する財産の価値(清算価値)、収入状況などによって決まります。典型的には借金総額の5分の1から10分の1程度まで圧縮されるケースもありますが、個別の事情によって変動します。その減額された借金を原則3年間で分割して返済していきます。個人再生の最大のメリットは、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用することで、住宅ローン返済中のご自宅を手放すことなく、他の借金を整理できる可能性がある点です。

自己破産:裁判所に借金の支払義務を免除してもらう手続き

自己破産は、ご自身の収入や財産では借金の返済が到底不可能であると裁判所に認めてもらい、原則として全ての借金の支払義務を免除(免責)してもらう手続きです。税金など一部の支払い義務は残りますが、貸金業者からの借金はゼロになり、生活再建の大きな一歩となります。ただし、不動産や自動車など、一定の価値を持つ財産は原則として手放す必要があります。誤解されがちですが、生活に必要な家財道具などが全て没収されるわけではありません。

状況別|あなたに最適な債務整理手続きの選び方

「自分にはどの手続きが合っているのだろう?」という疑問にお答えするため、具体的なご希望や状況に応じた手続きの選び方を解説します。ご自身の状況と照らし合わせながらお読みください。

家や車など特定の財産を残したい場合

住宅ローン返済中のご自宅や、生活に不可欠な自動車を手元に残したいというご希望は非常に多く寄せられます。このような場合、選択肢は主に「個人再生」か「任意整理」となります。

  • 個人再生:前述の「住宅ローン特則」を利用すれば、住宅ローンはそのまま返済を続け、他の借金だけを大幅に減額することが可能です。マイホームを守りたい方にとって、最も有効な選択肢となることが多いです。
  • 任意整理:住宅ローンや自動車ローン以外の借金を整理することで、家や車を残せる可能性があります。ただし、自動車ローンが残っている場合、そのローン会社を任意整理の対象にすると車は引き揚げられる可能性があります。
  • 自己破産:原則として、持ち家や査定額の高い車は手放すことになります。

保証人がいる借金を整理したい場合

ご親族やご友人に保証人になってもらっている借金がある場合、手続きの選択は慎重に行う必要があります。なぜなら、主債務者であるあなたが返済できなくなると、債権者は保証人に請求を行うからです。

  • 任意整理:この手続きの大きな特徴は、整理する借金を選べる点です。保証人がついている借金は手続きの対象から外し、それ以外の借金だけを整理することで、保証人への影響を回避できる可能性があります。
  • 個人再生・自己破産:これらの手続きは原則として全ての債権者を対象とするため、保証人がついている借金も含まれます。手続きが開始されると、債権者は保証人に対して残額の一括返済を求めることが一般的です。

保証人の方にご迷惑をかけたくないというお気持ちは当然のことです。最適な方法を一緒に検討させていただきますので、ご安心ください。

収入が不安定、または無職の場合

債務整理の手続きの中には、継続的な返済を前提とするものがあります。そのため、現在の収入状況は手続きを選択する上で非常に重要な要素となります。

  • 任意整理・個人再生:これらの手続きは、減額された借金を3年~5年かけて返済していくことが前提です。したがって、手続き後も安定した収入が見込めることが条件となります。
  • 自己破産:収入がない、あるいは非常に不安定で、将来的に返済の目途が立たない場合には、自己破産が最も現実的な選択肢となります。借金の支払義務そのものが免除されるため、収入状況に関わらず生活の再建を目指すことが可能です。生活保護を受給されている方が自己破産を選択するケースも少なくありません。

手続き選択で後悔しないために知るべき弁護士選びの罠

債務整理の成功は、どの手続きを選ぶかだけでなく、「どの専門家に依頼するか」に大きく左右されます。しかし、残念ながら、必ずしも依頼者の利益を第一に考えてくれる事務所ばかりではないのが実情です。特に、弁護士選びで陥りがちな「罠」について知っておくことは、ご自身の未来を守るために非常に重要です。

なぜ安易に「任意整理」を勧める事務所があるのか?

私たちは、他の事務所に相談したものの、提案された方針に疑問を感じて当事務所へ来られる方々から、数多くのお話を伺ってきました。その中で特に懸念しているのが、「明らかに返済が困難な状況にもかかわらず、無理な任意整理を勧められた」というケースです。

なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。背景には、事務所側の都合があります。

自己破産や個人再生は、裁判所を通して行う厳格な手続きです。そして、裁判所の運用は、全国一律ではありません。例えば、ここ北九州地域を管轄する福岡地方裁判所小倉支部には、独自の運用ルールや実務上の特色があります。地域の実情に精通していなければ、スムーズな手続きは望めません。

一方で、任意整理は裁判所を介さず、債権者と直接交渉する私的な手続きです。これは、全国どこで業務を行っていても手続きの進め方に大きな差が出にくく、事務所側から見れば「手間が少なく、定型化しやすい」という側面があります。そのため、全国展開し、広告を多用する大規模事務所の中には、各地域の裁判所の特色を十分に把握しておらず、結果として安易に任意整理を勧める傾向が見られるのです。

しかし、任意整理はあくまで将来利息のカットが中心であり、元本は減りません。収入状況から見て明らかに返済計画に無理があるにもかかわらず任意整理で和解してしまうと、結局返済が滞り、再度苦しい状況に陥ってしまいます。それは、真の解決とは到底言えません。

本当に依頼者の生活再建を願うならば、手間がかかるとしても、その方にとって最もメリットの大きい自己破産や個人再生といった手続きを、きちんと選択肢として提示すべきなのです。私たちは、そのような誠実な対応こそが、法律専門家としての責務であると確信しています。

失敗しない弁護士選び5つのチェックポイント

大切な人生の再スタートを託す弁護士は、慎重に選ぶ必要があります。ご相談の際には、ぜひ以下の5つのポイントを確認してみてください。

  1. 債務整理の取り扱い実績が豊富か
    ウェブサイトなどで、債務整理に関する取り扱い事例などが掲載されているかを確認しましょう。様々なケースに対応してきた弁護士は、幅広いノウハウを持っています。
  2. メリットだけでなくデメリットも丁寧に説明するか
    良いことばかりを強調するのではなく、各手続きのデメリットやリスクについても、きちんと時間を割いて分かりやすく説明してくれる弁護士は信頼できます。
  3. 費用体系が明確か
    相談時に、弁護士費用について明確な説明があるかを確認しましょう。「総額でいくらかかるのか」「分割払いは可能か」などを事前にしっかり確認することがトラブル防止に繋がります。
  4. 地域(北九州)の裁判所実務に精通しているか
    特に自己破産や個人再生を検討する場合、地元の裁判所の運用に詳しいことは非常に重要です。北九州地域に根ざして活動している弁護士は、その点で大きな強みを持っています。
  5. 担当弁護士と直接話しやすいか
    「話しやすい」「質問しやすい」と感じられるか、相性も大切なポイントです。あなたの不安な気持ちに寄り添い、親身に話を聞いてくれる弁護士を選びましょう。

北九州・小倉で債務整理をお考えなら平井・柏﨑法律事務所へ

借金問題は、一人で抱え込んでいるだけでは解決が難しい問題です。しかし、専門家である弁護士に相談することで、解決のための具体的な選択肢や見通しを得られる可能性が高まります。もしあなたが今、返済に追われる日々を送っているのであれば、どうか勇気を出して、私たちにご相談ください。

平井・柏﨑法律事務所は、JR小倉駅から徒歩5分というアクセスしやすい場所に事務所を構え、これまで数多くの北九州・小倉地域の皆様の借金問題と向き合い、解決に導いてまいりました。

当事務所の債務整理に関する解決方針

私たちの第一の目標は、単に借金を整理することではなく、ご依頼者様が経済的にも精神的にも安定した生活を取り戻し、新たな一歩を踏み出すことです。そのために、私たちは目先の問題だけでなく、ご依頼者様の将来までを見据えた最適な解決策をご提案することをお約束します。

ご相談の際には、任意整理、個人再生、自己破産のそれぞれのメリット・デメリットを丁寧にご説明し、ご依頼者様ご自身が「この方法で再出発したい」と心から納得できる方針を一緒に見つけていきます。私たちは、ご依頼者様のお気持ちに寄り添いながらも、法律の専門家として冷静な視点から最善の道筋を照らします。

ご相談から解決までの流れ

「弁護士に相談するのは初めてで不安…」という方でもご安心いただけるよう、当事務所では分かりやすい解決プロセスを心がけています。

  1. 無料相談のご予約
    まずはお電話またはウェブサイトのフォームから、初回60分無料相談をご予約ください。
  2. 弁護士との面談
    プライバシーに配慮した完全個室で、弁護士が直接お話を伺います。借金の状況やご希望をありのままお聞かせください。
  3. 方針決定とご契約
    お伺いした内容に基づき、最適な解決方針と費用について明確にご提案します。ご納得いただけましたら、ご契約となります。
  4. 手続き開始(受任通知の発送)
    ご契約後、当事務所から速やかに各債権者へ「受任通知」を発送します。この通知が貸金業者などの債権者に届けば、貸金業法等の規制に基づき、ご本人様への直接の請求や督促は原則としてストップします。ただし、個人間の貸し借りや、通知が届いていない場合など、一部例外もあります。
  5. 解決
    各手続き(交渉・裁判所への申立て等)を進め、借金問題の解決、そして新しい生活のスタートを目指します。

借金問題の解決は、まず相談することから始まります。当事務所の初回法律相談は60分無料です。一人で悩まず、まずはお気軽にお問い合わせください。

初回60分無料相談のお問い合わせはこちら

自己破産できない?免責不許可事由と裁量免責を弁護士が解説

2025-11-04

「私でも自己破産できる?」浪費やギャンブルが不安な方へ

「パチンコや競馬で多額の借金を作ってしまった…」「ブランド品を買いすぎたり、高額な飲食を繰り返したりした過去がある…」

借金の返済が苦しくなり自己破産を考えたとき、このような過去の浪費やギャンブルが頭をよぎり、「自分のような人間は、自己破産を認めてもらえないのではないか」と、強い不安や罪悪感に苛まれてしまう方は少なくありません。

しかし、どうか諦めないでください。結論から申し上げますと、浪費やギャンブルといった事情があったとしても、多くの場合、自己破産によって借金の支払義務を免れること(免責)は可能です。

自己破産の手続きには、「免責不許可事由」という、原則として免責が認められないケースが法律で定められています。そして、浪費やギャンブルは、この免責不許可事由に該当する可能性があります。

一方で、法律は「裁量免責」という制度も設けています。これは、たとえ免責不許可事由があったとしても、裁判所が様々な事情を考慮し、その裁量によって免責を許可することができる、いわば例外的な救済措置です。そして、実際には、免責不許可事由があるケースのほとんどが、この裁量免責によって救済されています。

この記事では、自己破産における「免責不許可事由」と「裁量免責」の仕組みから、実際に裁量免責を得るために何をすべきかまで、具体的なポイントを北九州・小倉の弁護士が分かりやすく解説します。最後までお読みいただくことで、ご自身の状況でも自己破産できる可能性と、そのために進むべき道筋が明確になるはずです。

テーブルの上で固く握りしめられた手。借金問題で悩む人の不安やストレスを象徴している。

自己破産における「免責不許可事由」と「裁量免責」とは?

自己破産の目的は、支払い不能に陥った方の経済的な再出発を助けることにあります。しかし、その一方で、あまりに不誠実な理由で借金を作った方まで無条件に救済することは、債権者(お金を貸した側)との公平性を欠いてしまいます。このバランスを取るために設けられているのが「免責不許可事由」と「裁量免責」という制度です。

原則:借金がゼロにならない「免責不許可事由」

免責不許可事由とは、「このような事情がある場合には、原則として借金の免責を認めません」と破産法第252条1項で定められた、具体的なケースのことです。これは、債権者を害するような不誠実な行為をした人まで保護する必要はない、という考え方に基づいています。

代表的な免責不許可事由には、以下のようなものがあります。

  • 財産を隠したり、不当に価値を下げたりする行為
    (例:自己破産直前に預金を家族名義の口座に移す、所有する車を不当に安く友人に売却する)
  • 特定の債権者にだけ不公平な返済をする行為(偏頗弁済)
    (例:友人からの借金だけを優先的に返済する)
  • 浪費やギャンブルによって著しく財産を減少させたり、過大な借金を作ったりする行為
    (例:収入に見合わない高額なブランド品の購入、パチンコ・競馬・FX投資などへの過度なのめり込み)
  • 詐欺的な手段で信用取引によって財産を得る行為
    (例:返済能力がないことを隠してクレジットカードを作成し、高額な商品を購入する)
  • 裁判所へ虚偽の書類を提出したり、説明を拒んだりする行為
    (例:財産目録に意図的に記載しない財産がある、借金の理由について嘘をつく)
  • 過去7年以内に免責許可決定が確定していること

ご相談者様が最も心配される「浪費」や「ギャンブル」も、このように免責不許可事由の一つとして明確に定められています。

例外:裁判所の判断で免責が認められる「裁量免責」

免責不許可事由があると聞くと、「もう自己破産は無理だ」と感じてしまうかもしれません。しかし、重要なのはここからです。破産法は、同じく第252条の2項で、たとえ免責不許可事由があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると判断した場合には、免責を許可できる、と定めています。これを「裁量免責」といいます。

これは、自己破産制度の本来の目的が、ペナルティを与えることではなく、真に反省し、やり直そうとしている方の経済的更生を助けることにあるからです。そのため、免責不許可事由に該当する行為があったとしても、

  • その行為の程度や経緯
  • 債務者本人が深く反省しているか
  • 手続きに誠実に協力しているか
  • 今後の経済的更生の可能性

といった点を総合的に考慮し、裁判所が「この人には再出発のチャンスを与えるべきだ」と判断すれば、裁量免責が認められるのです。

最高裁判所が公表している司法統計年報(令和4年)によれば、自己破産を申し立てた方のうち、最終的に免責が許可されなかったケース(免責不許可・取下げ等)は全体の1%未満であり、免責不許可事由があったとしても、その多くは裁量免責によって救済されているのが実情です。

【事例で解説】免責不許可事由があっても裁量免責されたケース

浪費やギャンブルが原因の借金であっても、裁量免責が認められるケースは決して珍しくありません。むしろ、適切な対応をすれば、認められることの方が一般的です。ここでは、当事務所が実際に経験した事例をもとに、どのような対応が裁量免責に繋がったのかを解説します。

弁護士の視点:高額な浪費・ギャンブルでも免責の可能性はあります

「一体いくらまでなら許されるのだろうか…」と不安に思われるかもしれません。しかし、問題の本質は金額の多寡だけではありません。当事務所で扱った事案の中には、高額な浪費やギャンブルが原因の借金であっても、裁判所から裁量免責が認められたものがあります。ただし、これはあくまで一例であり、個別の事情によって結果は大きく異なります。過去の事例は将来の結果を保証するものではありません。

なぜ、それでも免責が認められたのか。それは、ご依頼者様がご自身の問題と真摯に向き合ったからです。私たちは、自己破産の申し立てにあたり、なぜ多額の借金を形成するに至ったのか、その経緯をできる限り詳細に、ご本人様の言葉で裁判所に説明するお手伝いをしました。例えば、仕事のストレスが原因でギャンブルにのめり込んでしまった経緯、精神的な不調が浪費に影響していた可能性などを、正直に、そして具体的に書面で示すのです。

もし精神疾患が背景にある場合は、専門医の治療を受け、その状況を裁判所に報告することも重要です。こうした事前準備と、手続きが始まってからの誠実な対応が、裁判所に「この人は本気で更生しようとしている」という心証を与え、最終的な裁量免責に繋がるのです。

この事例が示すように、重要なのは過去の行為そのものよりも、「過去を真摯に反省し、未来に向けてどう行動するか」という姿勢を、裁判所や破産管財人(裁判所から選任され、手続きをサポートする弁護士)に具体的に示すことです。

家計簿にペンで丁寧に記入している様子。自己破産手続き中に生活を改め、金銭管理を徹底する誠実な姿勢を表している。

裁量免責を得るために最も重要な3つのポイント

では、具体的に「誠実な姿勢」とは何を指すのでしょうか。裁量免責を得る可能性を最大限に高めるために、ご依頼者様に必ずお願いしている、最も重要な3つのポイントを解説します。これは精神論ではなく、具体的な行動指針です。

1. 弁護士に正直にすべてを話す

裁量免責を目指す上で、これが全ての土台となります。弁護士にご相談いただく際には、ご自身にとって不利だと思われる情報こそ、包み隠さずお話しください。

「ギャンブルで使った金額を少なく言ってしまおう」「この借金のことは黙っておこう」といった隠し事は、百害あって一利なしです。自己破産の手続きでは、破産管財人が預金通帳の履歴やクレジットカードの明細などを徹底的に調査します。そのため、嘘や隠し事は、遅かれ早かれ必ず発覚します。

もし後から発覚した場合、「虚偽の説明をした」として、かえって裁判所の心証を著しく悪化させ、裁量免責が極めて困難になるリスクがあります。弁護士は、ご依頼者様の味方です。最初から全ての事実を正直にお話しいただくことで、私たちは初めて、想定される問題を先回りし、最善の対応策を立てることができるのです。

2. 裁判所や破産管財人の調査に誠実に対応する

自己破産の手続きが始まると、裁判所への書類提出や、破産管財人との面談(面接)が行われます。この一連の手続きへの協力姿勢が、裁量免責の判断に直接影響します。

  • 書類は正確に、正直に作成する:家計の状況や財産目録など、求められた書類はごまかさずに正確に作成します。もちろん、弁護士が全面的にサポートします。
  • 質問には嘘をつかず、真摯に答える:破産管財人との面談では、借金の経緯や反省の気持ちについて質問されます。厳しいことを言われるかもしれませんが、言い訳をしたり嘘をついたりせず、正直に、反省の意を込めて回答することが重要です。
  • 指示には迅速に従う:追加書類の提出など、裁判所や破産管財人からの指示には、誠意をもって迅速に対応しましょう。

場合によっては、裁判所へ「反省文」を提出することもあります。反省文では、なぜ借金問題を起こしてしまったのか、自身の弱さと向き合い、今後二度と繰り返さないためにどう生活を立て直していくのかを、ご自身の言葉で具体的に綴ることが求められます。破産管財人は、決して敵ではありません。あなたの経済的更生をサポートするために選任された、中立的な協力者であると理解してください。

3. 手続き中は生活態度を改め、反省の姿勢を示す

裁判所が最も重視するのは、「口先だけでなく、行動で反省を示しているか」という点です。弁護士に依頼してから免責が確定するまでの間、生活態度を改めることが極めて重要になります。

具体的には、

  • ギャンブルや浪費をきっぱりと断つこと
  • 家計簿を毎日つけ、収支を正確に管理すること
  • 収入の範囲内で堅実な生活を送ること

といった行動が求められます。特に家計簿の提出は、破産管財人から指示されることがほとんどです。これは、ご自身のお金の流れを客観的に把握し、管理する能力があることを示すための重要な証拠となります。「この人なら、免責を許可すればきちんと生活を立て直せるだろう」と裁判所に信頼してもらうための、何よりものアピールになるのです。

岐路に立ち、光が差す明るい道を見つめる人物。過去と決別し、自己破産を経て新しい人生を歩みだす決意を象徴している。

もし免責が不許可になったら?その後の対処法

ここまで誠実に対応しても、万が一、免責が不許可となってしまったらどうなるのでしょうか。まず知っておいていただきたいのは、先述の通り、免責不許可となるのは極めて稀なケースであるということです。弁護士と協力し、誠実な対応を尽くしていれば、過度に心配する必要はありません。

それでも免責不許可の決定が下された場合でも、道が完全に閉ざされるわけではありません。主な対処法としては、以下の2つが考えられます。

  1. 即時抗告(そくじこうこく)を行う
    免責不許可の決定に不服がある場合、高等裁判所に対して不服申し立て(即時抗告)を行うことができます。ただし、一度地方裁判所が下した判断を覆すのは、容易ではありません。
  2. 個人再生など他の債務整理を検討する
    自己破産が認められなかった場合でも、借金を大幅に減額し、分割で返済していく「個人再生」という手続きを検討できる可能性があります。自己破産を選択したくない方へのページでも詳しく解説していますが、個人再生であれば、借金の原因は問われないため、浪費やギャンブルがあっても手続きを進めることが可能です。

いずれの選択肢を取るにせよ、専門的な判断が不可欠です。万が一の事態に備えるためにも、債務整理に経験豊富な弁護士と共に手続きを進めることが重要です。

まとめ|免責不許可事由があっても諦めずに弁護士へご相談を

この記事では、自己破産における免責不許可事由、特に浪費やギャンブルがある場合の「裁量免責」について解説しました。

重要なポイントを改めてまとめます。

  • 浪費やギャンブルは「免責不許可事由」に該当する可能性があるが、それで自己破産を諦める必要はない。
  • 「裁量免責」という制度があり、裁判所が更生の意欲などを考慮して、免責を許可してくれる可能性が十分にある。
  • 裁量免責を得るためには、弁護士にすべてを正直に話し、裁判所や破産管財人に誠実に対応し、生活態度を改めることが不可欠である。

過去の過ちに対する後悔や、将来への不安から、一人で悩み続けてしまうお気持ちは痛いほど分かります。しかし、自己破産は、人生をやり直すために法律が認めた正当な権利です。そして、その手続きを誠実に進めようとするあなたの傍らには、法律の専門家である私達弁護士がいます。

平井・柏﨑法律事務所では、借金問題に関する初回のご相談を60分無料でお受けしております。ご自身のケースで自己破産が可能かどうか、まずはお話をお聞かせください。私達が、あなたの再出発を全力でサポートします。

一人で抱え込まず、まずは勇気を出して、初回60分無料相談はこちらからお問い合わせください。

債務整理で財産はなくなる?北九州で家・車・預金を守る方法

2025-11-01

「債務整理=全財産没収」は誤解です

借金の返済にお悩みで、「債務整理」という言葉を調べたとき、「家も車も、何もかも失ってしまうのではないか」という不安に駆られてしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、ご家族との生活の基盤であるご自宅や、通勤に不可欠な自動車を手放さなければならないとしたら、債務整理に踏み切ることを躊躇されるのも無理はありません。

しかし、「債務整理をすると、すべての財産を没収される」というのは、大きな誤解です。

債務整理は、借金に苦しむ方を罰するための制度ではありません。むしろ、返済の負担を軽くし、生活を再建するための、法律で認められた手続きです。そのため、法律では、生活を立て直すために必要な最低限の財산は「自由財産」として手元に残すことが認められています。

この記事では、債務整理の手続きによって、あなたの大切な財産がどうなるのか、特に私たち平井・柏﨑法律事務所が拠点を置く北九州・小倉地域の実情に即してお伝えします。まずは正しい知識を得ることから始めていきましょう。

どの財産を残したい?3つの債務整理と財産の行方

家、車、お金のアイコンが描かれた積み木を並べ、債務整理における財産の選択を象徴する画像

債務整理には、大きく分けて「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの手続きがあります。どの手続きを選択するかによって、借金の減額幅だけでなく、財産に与える影響も大きく異なります。「何を残したいか」というご希望は、最適な手続きを選択する上で非常に重要な判断基準となります。

ここでは、各手続きが家・車・預貯金といった主要な財産にどう影響するのか、その概要を見ていきましょう。

手続きの種類家(住宅ローンあり)車(ローンなし)預貯金・保険特徴
任意整理影響なし残せる原則、影響なし裁判所を介さず、柔軟な対応が可能。財産への影響が最も少ない。
個人再生特則利用で残せる可能性残せる原則、影響なし住宅ローン特則で家を守りつつ、他の借金を大幅に圧縮できる。
自己破産原則、手放す価値による(残せる場合も)一定額以上は処分対象借金が免除される代わりに、高価な財産は処分される。
債務整理の種類と主要な財産への影響

【任意整理】財産への影響が最も少ない手続き

任意整理は、裁判所を通さずに、弁護士が債権者(貸金業者など)と直接交渉し、将来の利息のカットや返済期間の延長(通常3〜5年)を目指す手続きです。交渉の対象とする債権者を自由に選べるため、例えば住宅ローンや自動車ローンを対象から外すことで、ご自宅や車に影響を与えることなく、他の借金の負担だけを軽減することが可能です。

原則として財産を処分する必要がないため、ご自身の財産を守りながら返済計画を立て直したい方に適しています。ただし、あくまで利息カットが中心であり、元金そのものが減るわけではないため、分割すれば元金を返済していける見込みがある方向けの手続きといえます。

【個人再生】住宅ローン特則でマイホームを守る

個人再生は、裁判所に申し立てを行い、借金を大幅に(例えば5分の1程度に)圧縮し、その圧縮された借金を原則3年で分割返済していく手続きです。この手続きの最大のメリットは、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用できる点にあります。

この特則を利用すれば、住宅ローンはこれまで通り返済を続けることでマイホームを手放すことなく、それ以外の借金だけを大幅に減額することが可能です。「家だけはどうしても守りたい」という方にとって、非常に有効な選択肢となります。詳しくは「債務整理の種類と特徴ー個人再生」のページもご覧ください。

また、ローンが完済している自動車であれば、原則として手元に残すことができます。大幅な借金減額と財産の保持を両立したい場合に、検討すべき手続きです。

【自己破産】借金をゼロにする代わりの財産処分

自己破産は、裁判所に申し立て、支払い不能であることを認めてもらうことで、原則として全ての借金の支払い義務を免除(免責)してもらう手続きです。返済能力が全くない場合でも、人生を再スタートさせるための最後のセーフティネットといえます。

その代わり、申立人が所有する一定以上の価値を持つ財産(不動産、高価な自動車、20万円を超える預貯金など)は、破産管財人によって換価(現金化)され、債権者へ配当されることになります。これが「自己破産=財産没収」というイメージに繋がっているのでしょう。

しかし、冒頭で述べた通り、すべての財産が対象となるわけではありません。法律で定められた「自由財産」は、生活の再建のために手元に残すことが認められています。どのような財産が「自由財産」として認められるのか、その具体的な基準は裁判所によって運用が異なります。詳しくは「債務整理の種類と特徴ー自己破産」のページもご参照ください。

次の章では、この記事の核心である、北九州・小倉地域における具体的な運用基準について詳しく解説します。

【北九州・小倉】自己破産で残せる財産の具体的な基準

法律書が並ぶ本棚と相談スペースが映る、信頼感のある法律事務所内の風景

ここからは、一般的な情報だけでは分からない、より踏み込んだお話をします。自己破産の手続きにおいて、どの範囲の財産を手元に残せるか(自由財産の拡張)という判断は、実は全国一律ではなく、各地の裁判所の運用に委ねられている部分が大きいのが実情です。

私たち平井・柏﨑法律事務所は、これまで依頼者の代理人としてだけでなく、裁判所から選任される破産管財人や個人再生委員という中立的な立場で、数多くの債務整理案件に携わってまいりました。その経験から、福岡地方裁判所小倉支部の実務運用を熟知しております。ここでは、その知見に基づき、小倉支部で自己破産をした場合に手元に残せる財産の具体的な基準をご説明します。

自動車:初年度登録から5年が目安

通勤やご家族の送迎など、北九州地域で生活する上で自動車が不可欠という方は少なくありません。

福岡地裁小倉支部における当事務所の経験上の運用では、目安として初年度登録から5年を経過した国産車は、資産価値が低いと見なされ、手元に残せる可能性が高い傾向にあります。これは、自動車の査定額が実質的に低く評価されるためですが、最終的な判断は車種や状態によって個別に判断されます。

ただし、以下のようなケースは例外となる可能性があるため注意が必要です。

  • 外車、ハイブリッド車、電気自動車
  • 排気量の大きい高級車
  • ヴィンテージカーなど、古くても価値が高い車種

また、自動車ローンが残っている場合は、所有権がローン会社にある(所有権留保)ため、原則として自動車は引き揚げられてしまいます。ご自身の車がどうなるか、正確な見通しを知りたい場合は、車検証をお持ちの上でご相談ください。

預貯金:総額20万円までなら手元に残せる

当面の生活費として、預貯金がどうなるかは最も気になるところでしょう。

自己破産の手続きでは、破産手続開始決定時の預貯金残高が処分の対象となりますが、福岡地裁小倉支部における実務上の運用として、すべての金融機関の口座残高を合計して20万円以下であれば、自由財産として手元に残せる可能性が高いです。ただし、個別の事情によっては裁判所の判断が異なる場合もあります。

重要なのは、「すべての口座の合計」という点です。例えば、A銀行に15万円、B銀行に10万円の預金があれば合計25万円となり、処分の対象となる可能性があります。特定の口座だけを隠したり、手続き直前に家族の口座へ送金したりする行為は「財産隠し」と見なされ、最悪の場合、免責が認められない事態にもなりかねませんので、絶対におやめください。

生命保険:解約返戻金が20万円以下かどうかが鍵

ご家族のために加入している生命保険も、簡単に手放したくない財産の一つです。

生命保険が処分の対象となるかは、その保険の「解約返戻金」の額によります。解約返戻金とは、保険契約を解約した際に保険会社から払い戻されるお金のことです。福岡地裁小倉支部の実務運用上、この解約返戻金の合計額が20万円以下であれば、保険を解約せずに契約を継続できる場合が多いです。ただし、これも個別の事案によって判断が異なる可能性がある点にご留意ください。

いわゆる「掛け捨て型」の保険には解約返戻金がないか、あってもごく少額なため、問題となることは少ないでしょう。ご自身の保険がどのタイプか、解約返戻金がいくらになるか分からない場合は、保険証券をご確認いただくか、保険会社に問い合わせてみましょう。

差し押さえのリスクと回避策

返済が滞ると、債権者は裁判所に申し立て、給与や預金口座を差し押さえることがあります。給与が差し押さえられると、手取り額の一部(原則4分の1)が直接勤務先から債権者に支払われ、生活に大きな影響が及ぶだけでなく、職場にも借金の事実が知られてしまいます。

このような事態を避けるための最も有効な策は、差し押さえが実行される前に、弁護士に債務整理を依頼することです。

弁護士にご依頼いただくと、まず「受任通知」という書面を各債権者に送付します。この通知を受け取った債権者は、法律により、債務者本人への直接の取り立てや連絡をすることが禁じられます。これにより、精神的な平穏を取り戻すことができます。

さらに、弁護士が介入することで、すでに始まっている給与差し押さえの手続きを中断させたり、これから始まろうとしている差し押さえを未然に防いだりすることが可能になります。「差し押さえ予告通知が届いた」という段階でも、まだ間に合う可能性があります。手遅れになる前に、一刻も早くご相談いただくことが、ご自身とご家族の生活を守ることに繋がります。

参考:民事執行

北九州・小倉で債務整理のお悩みは当事務所へご相談ください

北九州の法律事務所で協力して書類を確認する男性弁護士と女性弁護士の後ろ姿

この記事でお伝えしてきたように、「債務整理=全財産没収」というイメージは誤解であり、法律は生活再建に必要な財産を守るための仕組みを用意しています。特に自己破産においても、北九州・小倉の実務運用を正しく理解すれば、生活基盤を維持しながら再出発できる可能性は十分にあります。

しかし、どの手続きがご自身の状況やご希望に最も合っているのか、どの財産を具体的に残せるのかという判断は、借金の総額、収入、財産の種類など、多くの要素を総合的に検討する必要があり、専門的な知識が不可欠です。ご自身で判断に迷われたり、不安を抱え続けたりする前に、ぜひ専門家である弁護士にご相談ください。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州・小倉の地域事情に精通し、債務整理に関する豊富な解決実績を有しています。男性弁護士・女性弁護士がそれぞれの視点から、事務所全体で知恵を出し合い、あなたにとって最善の解決策をご提案します。初回のご相談は60分無料です。一人で悩まず、まずは私たちにお話をお聞かせください。

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小規模個人再生のよくあるご質問【北九州・小倉】

2025-09-16

はじめに

疑問を持つ中年男性

個人再生は、裁判所に申し立てを行うことで、借金の返済額を大幅に減額できる手続きです。自己破産のように財産を失うことなく、自宅や自動車を守りながら生活を立て直せる点が大きな特徴です。

当事務所では、北九州・小倉エリアで多数の個人再生案件を取り扱ってきた経験を活かし、専門的な視点から、安心して手続きを進められるようサポートしています。

ここでは、個人再生に関するよくあるご質問にお答えいたします。

Q1. 個人再生とはどのような手続きですか?

個人再生とは、裁判所を通じて借金の返済額を減額してもらい、原則として3年間で返済する手続きです(特別な事情がある場合には最大5年まで延長することが可能です)。

借金総額に応じた返済額の目安は次の通りです。

借金総額 返済額(目安)
100万円~500万円 100万円
500万円~1500万円 借金総額の1/5
1500万円~3000万円 300万円
3000万円~5000万円 借金総額の1/10

例えば、借金が1000万円ある場合は、原則として約200万円まで減額されます。減額後の金額を3年間で返済する計算となりますが、返済期間延長が認められる場合は、毎月の返済負担がさらに軽くなります。

ただし、保持している財産の価値が借金総額に対して多い場合は、清算価値保障原則により返済額が増額されることがあります。これは、持っている財産を換価した場合に債権者に返済できる金額を下回らないよう調整するためのルールです。

Q2. 財産は処分されますか?

個人再生では、基本的に財産を手元に残したまま手続きを進めることが可能です。自己破産のように自宅や自動車、預貯金、生命保険を失うことはありません。

Q3. 住宅ローンがあっても手続きできますか?

はい、住宅ローン特則を利用することで、自宅ローンの支払いを続けながら、その他の借金を減額して返済することが可能です。

住宅ローン特則が利用するようには、

  • 住宅ローンとしての借り入れであること
  • 本人所有の住宅であること
  • 居住用の建物であること
  • 住宅ローン以外の借り入れの担保になっていないこと
  • 保証会社による代位弁済から6か月以内であること

などの条件を満たす必要がありますので、必ず弁護士に確認してください。

Q4. どのような方に個人再生をおすすめしますか?

個人再生は次のような方に適しています。

  • 持ち家を残したい方
    住宅ローン特則を使うことで、自宅を守りながら借金を圧縮できます。

  • 任意整理では返済が難しい方
    借金総額が多く、任意整理では元本全額を返済する必要がある場合でも、個人再生なら返済金額を大幅に減らせます。

  • 自己破産は避けたい方
    一部の資格制限を受けずに手続きを進められます(生命保険外交員、警備員など)。
  • 財産を失いたくない方
    自動車、預貯金、保険などを保持したまま生活を立て直せます。

Q5. 信用情報への影響はありますか?

個人再生を行うと、信用情報機関に事故情報として登録されます(いわゆるブラックリスト状態)。登録期間はおおむね5~10年です。この間は新規ローンやクレジットカードの利用が制限されます。

もっとも、債務整理せざるを得ない状況の方の場合、いずれ滞納してしまう可能性が高いと考えられることから、信用情報に登録されてしまうことを理由に手続きを遅らせるメリットはほとんどないといえます。

Q6. 収入条件はありますか?

個人再生は返済計画を伴う手続きであるため、安定した収入が必要です。

もっとも、給与所得者である必要があるわけではなく、アルバイトの方や個人事業主の方でも安定して収入を得られている方であれば、問題なく手続きを進めることができます。

Q7. 家族や職場に知られますか?

裁判所に提出する書類には家族(同居者)の収入資料等を提出する必要がありますが、家族(同居者)に知られずに資料を収集できるのであれば、家族に知られずに手続きを進めることも可能です。

勤務先に通知が行くことは基本的にありませんが、公務員の方の場合などは注意が必要です。

Q8. 手続き期間はどのくらいですか?

ご依頼いただいてから申立てまでで、早くても3か月程度はかかります。

申立てから再生計画認可までの期間は、通常4〜6か月が目安です。債権者の数や保有資産、住宅ローン特則の有無などによって期間が延びる場合があります。

したがって、ご依頼いただいてから認可までは早くとも7、8か月はかかると思っていただいた方がよいでしょう。

Q9. 弁護士に依頼するメリットは?

  • 債権者からの督促がストップする
  • 返済計画の作成をサポートしてもらえる
  • 裁判所とのやり取りをすべて任せられる
  • 住宅ローン特則や清算価値保障の計算など専門的判断が可能

弁護士に依頼することで、精神的な負担を大幅に軽減し、安全かつスムーズに手続きを進められます。

Q10. 相談はいつするのがよいですか?

返済が苦しいと感じた段階で、早めに弁護士に相談することをおすすめします。早期相談により、任意整理や個人再生、自己破産など、最適な手段を選択できる可能性が高まります。

Q11. 北九州・小倉で弁護士を選ぶポイントは?

個人再生委員の経験が豊富な弁護士は、裁判所の運用やポイントを熟知しています。複数の解決策を提示してくれる事務所を選ばれると、より適切な手続きが進められます。

まとめ

当事務所では、初回相談は無料で行っており、住宅ローン特則を含む個人再生についても丁寧にサポートしています。

北九州・小倉で借金問題にお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

個人再生の詳しいご相談はこちら
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自己破産・任意整理・個人再生の違いと選び方【北九州・小倉】

2025-08-07

1 はじめに

自己破産・任意整理・個人再生の違いと選び方【北九州・小倉】

借金の返済が難しくなったとき、自己破産、任意整理、個人再生といった法的手続によって生活を立て直すことが可能です。

しかし、「どの手続を選ぶべきなのか」「デメリットはどの程度あるのか」という疑問を抱え、なかなか一歩を踏み出せない方も少なくありません。

今回は、それぞれの手続の特徴や注意点を詳しく解説し、どういった状況の方がどの手続を検討すべきかについて、弁護士の視点からお伝えします。

2 自己破産・任意整理・個人再生の特徴

⑴ 自己破産

自己破産は、裁判所に申立てを行い、借金の支払義務を原則としてすべて免除してもらう手続です。今後の支払いが到底不可能な状況にある場合に選択することが多いです。

借金がゼロになるという大きなメリットがある一方で、20万円を超える預貯金や車、解約返戻金のある保険などの一定の財産は処分される可能性があり、また手続中は一部の資格(保険募集人や宅地建物取引士など)に就くことができません。

さらに、手続が完了すると官報に氏名が掲載されるというデメリットもあります。

⑵ 任意整理

任意整理は、裁判所を通さずに、弁護士が債権者と直接交渉して返済条件を見直す手続です。将来利息をカットしたり、3~5年の分割払いに再設定することが一般的です。

さらに大きな特徴として、整理の対象とする債権者を選択できるという点があります。

たとえば、住宅ローンや車のローンを維持したまま、消費者金融やカードローンのみを整理するといった柔軟な対応が可能です。元金自体は減額されないため、残債の総額が大きい場合には効果が限定的となりますが、家族や職場に知られずに進められるケースが多く、生活への影響を最小限に抑えたい方に向いています。

⑶ 個人再生

個人再生は、裁判所を通じて借金の大幅な減額を受け、その残額を原則3年(最長5年)で分割返済する手続です。たとえば500万円の借金であれば、おおむね100万円程度まで圧縮される場合もあります。

さらに、住宅ローン特則を利用すれば、自宅を維持したまま債務整理を行うことが可能です。

一方で、継続的な収入が要件となっており、ある程度の生活基盤が必要となります。

3 どの手続を選ぶべきか

どの手続を選ぶべきかは、借金の総額や収入、財産の有無、今後の生活の見通しなどによって異なります。

たとえば、返済が全くできず財産もほとんどない場合は、借金をゼロにできる自己破産が最有力となります。逆に、利息さえなくなれば返済可能で、住宅や車を維持したいという場合は、任意整理が適しています。また、自宅を手放さずに借金を大幅に減らしたい場合は、住宅ローン特則を利用できる個人再生が有効です。

さらに、借金の原因が浪費やギャンブルである場合、自己破産では免責が認められにくいとされますが、実際には裁判所の裁量で免責が認められるケースもあります。こうした特殊な事情を踏まえて、最適な手続を見極めることが重要です。

4 弁護士に相談するメリット

弁護士に相談することで、複雑な制度の中から最も適切な解決策を提示してもらえます。

また、受任通知を送付すればすぐに債権者からの督促が止まり、手続全般を弁護士に一任できるため、精神的な負担も軽減されます。

5 まとめ

借金問題は、早めに相談することで選択肢が広がります。「どの手続が自分に合うのか分からない」という方も、まずは専門家にご相談ください。

当事務所(平井・柏﨑法律事務所)では、自己破産での裁量免責の獲得事例、住宅ローン特則を利用した個人再生の認可実績、任意整理での有利な和解実績が多数あります。

初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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自己破産のよくあるご質問【北九州・小倉】

2025-07-15

はじめに

自己破産のよくあるご質問

自己破産は、借金問題を根本的に解決できる有力な手段の一つですが、「どんな手続きなのか」「どのような影響があるのか」について不安を抱えていらっしゃる方も多いかと思います。

このコラムでは、北九州市小倉北区で多数の自己破産案件を取り扱ってきた弁護士が、よくご相談いただくご質問にお答えします。

Q1. 自己破産とはどのような手続きですか?

自己破産とは、裁判所に申立てを行い、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。支払いが困難な状態(支払不能)であることが条件となります。

免除(免責)が認められれば、借金の返済義務がなくなり、生活の立て直しが可能になります。

Q2. どのような借金でも自己破産で免除されますか?

原則として、ほとんどの借金が対象となりますが、一部免除されない債務もあります。

たとえば、

  • 税金や社会保険料
  • 養育費や婚姻費用
  • 故意・重過失による損害賠償
  • 罰金等

などは免除の対象外となります。詳しくは個別の事情を確認して判断します。

Q3. 家族に知られずに自己破産はできますか?

法律上、自己破産の申立書類には家計の状況や家族構成を記載する必要がありますが、ご家族が申立て自体を知るかどうかは状況によります。

郵送物の管理や連絡先の設定によって、ご家族に知られずに進められる場合もありますので、具体的には弁護士にご相談いただくのが確実です。

Q4. 職場に知られてしまいますか?

通常、勤務先に知られることはありません。給与差押えを受けていない限り、職場への通知が行くこともありません。

ただし、公務員の方や特定の資格職では注意が必要なケースもあります。個別の状況に応じてアドバイスいたします。

Q5. すべての財産を失うのでしょうか?

自己破産をしても、すべての財産を失うわけではありません。

法律上、99万円までの現金や一定の生活に必要な財産は「自由財産」として手元に残すことができます。住宅や高額資産については処分が必要になる場合があります。

Q6. 免責が許可されないこともありますか?

破産法では「免責不許可事由」という項目が定められています。浪費やギャンブル、多額の保証債務などが該当することがあります。

 しかし、実際には「裁量免責」といって、事案全体を考慮して免責が認められるケースも多くあります。誠実に手続きを進めることが重要です。

Q7. 自己破産の手続き期間はどのくらいですか?

通常、申立から免責決定までおおよそ3〜6ヶ月程度が目安となります。ただし、資産状況や手続きの内容によっては半年以上かかる場合もあります。

Q8. 自己破産をすると二度と借入はできなくなりますか?

免責後も法的に借入が禁止されるわけではありませんが、信用情報(いわゆるブラックリスト)に一定期間(約5〜10年)登録されるため、当面は新たな借入やローン契約は難しくなります。

Q9. どのタイミングで相談すべきですか?

支払いが苦しいと感じ始めた段階で、早めにご相談いただくことをおすすめします。早期のご相談によって、自己破産以外の選択肢(任意整理や個人再生)が可能なケースも多くあります。

Q10. 北九州・小倉で自己破産に強い弁護士を選ぶポイントは?

破産管財人の経験が豊富な弁護士は、裁判所の運用やポイントを熟知しています。複数の解決策を提示してくれる事務所を選ばれると、より適切な手続きが進められます。

まとめ

自己破産は生活再建のための制度です。過度に恐れる必要はありませんが、正確な情報をもとに適切な手続きを選択することが大切です。

当事務所(平井・柏﨑法律事務所)では、これまで北九州・小倉エリアで多数の自己破産手続きをお手伝いしてまいりました。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

【小倉駅徒歩5分・初回相談無料】

🔗 自己破産の詳しいご相談はこちら → https://h-k-law.com/saimu/

自己破産しても税金はなくならない?

2025-06-13
自己破産しても税金はなくならない?

当事務所には、自己破産を検討している方から「税金も返済しなくてよくなりますか?」というご質問をよくいただきます。

結論から申し上げますと、税金は原則として、自己破産をしても免除されません。

ですが、「じゃあ破産しても意味がないのか?」というと、決してそんなことはありません。

自己破産をすることで、借金をきちんと整理したうえで、税金への対応にも集中できる状態を作ることができます。

今回は、自己破産と税金の関係について、北九州市小倉北区で10年以上自己破産事件を扱ってきた弁護士の視点から、わかりやすくお伝えします。

1 自己破産で免責されない主な債務

自己破産をして免責許可を受けることができれば、クレジットカードや消費者金融などの借金、個人間の貸し借りなどは、基本的にすべて返済しなくてよくなります(これを「免責」といいます)。

しかし、以下のような債務については、自己破産をしても免責されません。

  • 税金(所得税、住民税、固定資産税、消費税など)
  • 国民健康保険料・年金保険料などの社会保険料
  • 故意に損害を与えた場合の損害賠償(交通事故の無保険加害など)
  • 養育費や婚姻費用の未払い分
  • 罰金や過料、科料

このように、税金は免責されないため、破産後も支払いをしなければならないということになります。

2 税金が免責されない理由

自己破産の目的は「支払不能に陥った人に、経済的更生のチャンスを与えること」にあります。

ただし、税金は社会全体を支えるための義務という側面が強いため、法律上、特別な扱いとなっています。

また、税金は国や自治体が管理する「公的債権」であり、他の民間の債権(消費者金融、クレジット会社など)よりも優先されやすいという特徴もあります。

3 税金の滞納がある場合に自己破産するメリット

それでは、税金の滞納がある場合に自己破産しても意味はなく、全くメリットはないのでしょうか。必ずしもそうとは限りません。以下のように、税金の滞納があっても自己破産することには大きなメリットがあります。

これまでご説明したように、自己破産をしても税金はゼロにはなりませんが、ほとんどの方は「税金以外の借金(債務)」が大きな負担となっているのが実態だといえます。

例えば、

クレジットやカードローン:300万円

携帯の分割払い残金:30万円

消費者金融:150万円

税金滞納分:15万円

このようなケースでは、自己破産によって500万円近くの借金を返済しなくてよくなります。

そのうえで、税金の15万円だけを自治体と相談しながら分割納付や猶予申請をしていくというのが、現実的で確実な再出発への道です。

4 税金の滞納には「分納」や「徴収猶予」などの制度も

税金は自己破産手続きでは支払い義務はなくなりませんが、以下のような手続きによって支払いの猶予や分割払いが認められる場合があります

分納(分割払い)

自治体の税務課に相談すれば、ご自身の経済状況を考慮し、月々数千円〜数万円の範囲で、現実的な内容で分割払いできるケースがあります。

徴収の猶予

生活が苦しいことが明らかな場合、一定期間徴収を止めてもらえる制度もあります(最大1年程度)。

滞納処分の停止

差押えなどがすぐに実行されないよう、支払意思や経済状況を示して交渉することで、処分を一時的に回避できることもあります。

5 おわりに

上記のように、自己破産をしても税金の支払い義務はなくなりませんが、税金以外の借金(債務)をなくすことで、生活再建の下地を整えることができます。

そこで、自己破産を検討されている方、特に通常の借金に加えて、税金の滞納があることでご不安に感じられている方は、まずは弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

当事務所の弁護士は、北九州市小倉北区で10年以上、自己破産・個人再生などの債務整理案件を多数取り扱ってきました。また、裁判所から選任される破産管財人として、税金や保険料を含んだ案件にも実務的に関与してきた経験があります。

当事務所では、借金問題でお困りの方に、お気軽にご相談いただけるよう、借金に関する初回相談を無料で行っておりますので、是非、北九州・小倉の当事務所までお気軽にご相談ください。

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自己破産による資格制限とは?

2025-05-23
自己破産による資格制限とは?

自己破産を検討されている方からよく寄せられるご相談のひとつが、「破産すると資格や仕事に影響が出るのではないか」というご不安です。

実際、破産を申し立てた場合、一部の職業については法律上の資格制限が設けられており、一定期間、登録や業務の遂行ができなくなる場合があります。

そこで、今回は、破産手続きに伴う資格制限の仕組みや、どのような職業が制限の対象になるのか、また制限が解除されるタイミングなどについて、北九州・小倉の弁護士が説明いたします。

1 自己破産と免責について

自己破産とは、裁判所に申立をして債務(借金)の支払い義務を全額免除してもらう手続きです。

そして、支払い義務を免除してもらうことを「免責」といいます。そのため、厳密にいうと、個人の方が自己破産手続きを行うのは、裁判所にこの「免責」を許可してもらうためということになります。

2 自己破産における資格制限とは?

自己破産の申し立てを行い、「破産手続開始決定」が出されると、破産手続が終了し免責が確定するまでの間、一部の職業や資格に就くことが法律で制限されます。

この資格制限は、「破産手続開始決定から免責確定までの間」の一時的な制限であり、免責が確定すれば制限は解除されます。

3 資格制限の対象となる職業・資格

⑴ 弁護士、公認会計士、税理士などの士業

  • 弁護士(弁護士法第7条)
  • 公認会計士(公認会計士法第4条)
  • 税理士(税理士法第5条)
  • 司法書士(司法書士法第5条)

これらの職業では、破産手続中は登録の欠格事由となり、登録の取消や業務停止の対象となります。

⑵ 会社役員(取締役・監査役など)

会社法第331条により、株式会社などの役員には就任できません。ただし、破産手続き中に役職を辞任すれば、それ以降に新たな役員に就くことは免責確定後に可能になります。

⑶ 保険募集人や宅地建物取引士などの登録制資格

  • 宅地建物取引士(宅地建物取引業法第18条)
  • 保険募集人(保険業法第274条)
  • 貸金業取扱主任者(貸金業法第24条の4)

これらの職種では、登録の際に破産していないことが要件とされているため、破産手続中は新たに登録できません。

⑷ 警備員

警備業法第14条に基づき、破産者は警備業務に就くことができません。免責後に再び従事することは可能です。

4 資格制限がない主な職業

一方で、破産手続中であっても制限を受けない職業も多数あります。例えば、

  • 一般の会社員
  • アルバイト・パート
  • 工場勤務
  • 介護職員
  • ITエンジニア
  • フリーランス(登録制資格が不要な業務)

これらの職業は、破産による直接的な資格制限の影響を受けません。

5 資格制限の解除タイミングはいつ?

資格制限は、「免責許可決定が確定」すると解除されます。
通常、破産手続開始決定から3〜6か月程度で免責が確定することが多いです。

免責確定後は、制限を受けていた資格への復帰や再登録も可能になります。

6 まとめ

上記のように、自己破産には一時的な資格制限があるものの、免責確定後には復職や再登録が可能です。将来の生活再建のためには、正確な情報をもとに判断することが重要です。

そこで、自己破産手続きを検討されている方、特に自己破産における資格制限に関してご不安に感じられている方は、まずは弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

当事務所は、これまで債務整理手続きを多数取扱ってきましたので、豊富な実績経験があります。

また、当事務所では、借金問題でお困りの方に、お気軽にご相談いただけるよう、借金に関する初回相談を無料で行っておりますので、是非、北九州・小倉の当事務所までお気軽にご相談ください。

免責不許可事由について

2025-04-17
免責不許可事由について

自己破産は、借金をチャラ、言い換えれば、借金を返さないで良いようにする手続きですが、自己破産の申し立てをしても、「免責不許可事由」があると原則として借金の返済が免除されません。

そこで、今回は、どのような事情が免責不許可事由に該当するのか、免責不許可事由があっても免責される場合はどんな場合なのについて北九州・小倉の弁護士が説明いたします。

1 自己破産と免責について

自己破産とは、裁判所に申立をして債務(借金)の支払い義務を全額免除してもらう手続きです。

そして、支払い義務を免除してもらうことを「免責」といいます。そのため、厳密にいうと、個人の方が自己破産手続きを行うのは、裁判所にこの「免責」を許可してもらうためということになります。

2 免責不許可事由について

免責不許可事由とは、破産手続での免責を許可しない場合として破産法に定められた事情のことで(破産法252条1項)、免責不許可事由があると、自己破産をしても債務(借金)の支払義務は原則として免除されません。

免責不許可事由の具体的な内容は以下のとおりです。


⑴ 不当な破産財団の価値減少行為(破産法252条1項1号)

「債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為」をした場合は免責不許可事由に該当します。

例えば、処分されないようにするために破産者が自分の自動車の名義を妻に変更したり、100万円の価値がある宝石を10万円で売却したりする場合などが考えられます。


⑵ 著しく不利益な債務負担行為・処分行為(破産法252条1項2号)

「破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分」した場合は免責不許可事由に該当します。

例えば、破産せざるを得ない状況にあるとわかっていながら、ヤミ金から借り入をしたり、クレジットカードのショッピング枠を現金化したりする場合などが考えられます。


⑶ 非義務偏頗行為(破産法252条1項3号)

「特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをした」場合は免責不許可事由に該当します。

例えば、銀行や消費者金融にも借り入れがあるにもかかわらず、友人や親族にだけ返済を行った場合などが考えられます。


⑷ 浪費、賭博その他射幸行為による財産減少行為・債務増大行為(破産法252条1項4号)

「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した」場合は免責不許可事由に該当します。

例えば、パチンコや競馬などのギャンブルやFX取引などが原因で、借金を背負ってしまった場合などが考えられます。


⑸ 詐術による信用取引(破産法252条1項5号)

「破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得した」場合は免責不許可事由に該当します。

例えば、返す当てがないのに、相手をだまして借り入れをしたりする場合などが考えられます。


⑹ 帳簿隠滅等の行為(破産法252条1項6号)

「業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造した」場合は免責不許可事由に該当します。

例えば、破産手続きを有利に進めるために、提出すべき書類を隠したり、書き換えたりした場合などが考えられます。


⑺ 虚偽の債権者名簿の提出(破産法252条1項7号)

「虚偽の債権者名簿…を提出した」場合は免責不許可事由に該当します。

例えば、知人や親族からの借り入れだけは返済しようと考え、あえて知人や親族からの借り入れについて債権者名簿に記載しなかった場合などが考えられます。


⑻ 調査協力義務違反行為(破産法252条1項8号)

「破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をした」場合は免責不許可事由に該当します。


⑼ 管財業務妨害行為(破産法252条1項9号)

「不正の手段により、破産管財人…の職務を妨害した」場合は免責不許可事由に該当します。

例えば、破産財団に属する財産を隠したり、破産管財人を脅したりする場合などが考えられます。


⑽ 7年以内の免責許可取得等(破産法252条1項10号)

過去に免責許可決定を受け、その免責許可決定の確定日から7年以内に再度免責許可の申立てを行った場合には、免責不許可事由に該当します。


⑾ 破産法上の義務違反行為(破産法252条1項11号)

破産法において、破産者は、裁判所や破産管財人などの調査に協力しなければならないと定められており、破産者が裁判所や破産管財人の調査に協力しないときは、免責不許可事由に該当する可能性があります。


3 裁量免責について

これまで免責不許可事由の具体的内容についてご説明してきましたが、免責不許可事由に該当する場合でも、例外的に裁判所の裁量により免責が認められる場合があります(破産法252条1項2号)。

自己破産は、破産者の生活を立て直すための制度です。免責不許可事由に該当する場合でも、裁判所が生活を立て直す機会を与えても良いと考えるのであれば、裁判所の裁量による免責が認められます。

この裁量免責に際しては、

  • 支払不能になった原因や経過
  • 支払不能になった後の破産者の状況
  • 破産者の反省の有無、程度、更生の意欲、見込、必要性の程度、有無
  • 債権者の種類
  • 債権の内容、総債権額、免責に対する意見

などが総合的に考慮されます。

そして、上記の事情が考慮された結果、浪費やギャンブルにより多額の債務(借金)を負った方でも、1度目の破産手続きであれば、多くのケースで裁量免責が認められています。


4 まとめ

上記のように、浪費やギャンブルにより多額の債務(借金)を作ってしまった場合であっても、免責が認められるケースは多くありますので、免責不許可事由があるからといって、自己破産手続きを諦める必要はありません。

もっとも、自分が行った行為が免責不許可事由に該当するのかどうか、免責不許可事由に該当するとして裁量免責が認められる可能性があるのかどうかといった不安を感じられる方も多いことと思います。

そこで、自己破産手続きを検討されている方、特に免責不許可事由や裁量免責に関してご不安に感じられている方は、まずは弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

当事務所は、これまで債務整理手続きを多数取扱ってきましたので、豊富な実績経験があります。また、当事務所では、借金問題でお困りの方に、お気軽にご相談いただけるよう、借金に関する初回相談を無料で行っておりますので、是非、北九州・小倉の当事務所までお気軽にご相談ください。

自己破産により自動車を手放すことになるのか

2025-03-27
自己破産により自動車を手放すことになるのか

自己破産のご相談を受ける中で、自己破産をすると自動車を手放さないといけないのではないか等、自動車の処遇をご心配される方が多くいらっしゃいます。

そこで、今回は、自己破産をすることにより自動車を手放すことになるのかについて、北九州・小倉の弁護士が説明いたします。

1 ローンが残っている自動車について

ローンを組んで自動車を購入されている場合、購入した自動車に対して、信販会社等の所有権が留保されていることが多くあります。

そして、自動車に所有権留保が付いている場合に自己破産手続きを行うと、弁護士から自己破産をすることを信販会社等に通知(受任通知)を送付した後、自動車が引き揚げられてしまうことになります。

したがって、ローンが残っていて所有権留保が付いている自動車については、手元に残すことができないということになります。なお、銀行で自動車ローンを組んでいる場合など、自動車ローンであっても所有権留保を付けない場合もあるので、約款や車検証、自動車検査証記録事項等を確認する必要があります。

2 ローンを完済している自動車について

ローンを完済している自動車については、上記のような所有権留保が付いていないため、引き揚げられるということはありませんが、裁判所ごとの基準(自動車の価値や車種等)によって、処遇が異なってきます。

⑴ 福岡地方裁判所の基準

福岡地方裁判所であれば、「自動車(処分見込額が20万円以下である場合に限る。)」「ただし、初年度登録から5年を経過した自動車については、なお相当な価値があることが類型的にうかがわれるもの(ハイブリッド車、電気自動車、外国製自動車、排気量2500㏄を超えるものなど)を除き、価額を0円とみなすことができるものとする。」という基準があります。

⑵ 自動車を残せる場合

上記基準により、福岡地方裁判所管轄で自己破産をする場合においては、初年度登録から5年を経過したハイブリッド車等を除く自動車については、基本的に残すことができます。

また、上記の基準を満たしていない自動車、例えば、5年を経過していない自動車やハイブリッド車などについても、査定書等を取得し、処分見込額が20万円以下ということになれば、残すことができます。

⑶ 自動車を残せない場合

一方で、処分見込額が20万円を超える自動車については、基本的に破産手続内で破産管財人によって換価処分されることになり、その結果、自動車を手放さなければならないことになります。

もっとも、自分で自動車の処分見込額相当のお金を準備することができれば、そのお金を破産財団に組み入れることで、破産管財人に自動車を破産財団から放棄してもらうことにより、手元に残せるという場合もあります。

3 まとめ

上記のように、自己破産をするからといって、常に自動車を手放すことになるわけではなく、手元に残せる場合や残すために取り得る方法があります。

そして、自己破産することによって自動車を手放すことになるかどうかを判断するためには、自動車ローンが残っている場合であれば、約款や車検証、自動車検査記録事項等を正確に確認する必要がありますし、完済している場合であれば、裁判所ごとの基準をきちんと理解しておく必要があります。

そこで、自己破産手続きを検討されている方、特に自動車を所有しており、手元に残すことを希望される方は、まずは弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

当事務所は、これまで債務整理手続きを多数取扱ってきましたので、豊富な実績経験があります。また、当事務所では、借金問題でお困りの方に、お気軽にご相談いただけるよう、借金に関する初回相談を無料で行っておりますので、是非、北九州・小倉の当事務所までお気軽にご相談ください。

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