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自己破産でスマホはどうなる?機種代分割中の対応を北九州の弁護士が解説

2026-02-20

【結論】自己破産してもスマホは原則使い続けられます

借金問題で自己破産を考え始めたとき、「毎日使っているスマホはどうなるのか?」「分割払いが残っているiPhoneは取り上げられてしまうのでは?」といった不安は、生活に直結する深刻な問題です。まず結論からお伝えします。

  • 原則として、自己破産をしてもスマホ(通信回線)は使い続けることができます。
  • 機種代金を「分割払い中」の場合、端末の返還を求められる可能性がありますが、事前に対策を講じることが可能です。
  • 破産管財人は「キャリア決済(ゲーム課金や現金化)」の履歴を厳しくチェックします。しかし、これを隠さずに正直に申告することが、免責許可を得るための第一歩となります。

現代社会において、スマートフォンは単なる通信手段ではなく、仕事の連絡、情報収集、そして家族との繋がりを保つための生命線です。自己破産は人生を再スタートさせるための制度であり、その生活基盤を不必要に奪うものではありません。ただし、いくつかの重要な注意点が存在します。この記事では、福岡地方裁判所小倉支部から選任されている現役の破産管財人として、正しい対応策を具体的に解説します。自己破産の全体像については、自己破産の基礎知識で体系的に解説しています。

【状況別】自己破産でスマホの契約はどうなる?3つのパターン

自己破産手続きにおいて、お使いのスマートフォンの契約がどうなるかは、主に「機種代金の支払い状況」と「通信料の滞納の有無」によって決まります。ご自身の状況がどれに当てはまるか、確認してみましょう。

①機種代完済・通信料の滞納なし:問題なく継続利用可能

最も心配がないのがこのケースです。すでにスマートフォンの端末代金をすべて支払い終えており、月々の通信料にも滞納がなければ、自己破産手続き後も問題なく契約を継続し、スマホを使い続けることができます。

なぜなら、この場合、携帯電話会社はあなたに対する「債権者」ではないからです。自己破産は、債権者(お金を貸している側)を対象とする手続きですので、あなたに請求すべき債権がない携帯電話会社は、手続きの対象外となるのです。

②機種代を分割払い中:原則、契約解除・端末返還の可能性

多くの方がこのケースに該当するのではないでしょうか。高価なスマートフォンを分割払いで購入し、現在も支払いを続けている場合、注意が必要です。

この分割払いの残額は、クレジットカードのローンや消費者金融からの借入金と同じ「借金」として扱われます。自己破産を申し立てる際は、すべての債権者を平等に扱わなければならないという「債権者平等の原則」があるため、携帯電話会社の分割代金だけを支払い続けることはできません。

その結果、携帯電話会社は債権者として手続きに参加することになり、残債務は免責(支払い免除)の対象となります。しかし、その代わりとして、携帯電話会社との契約は解除され、担保となっていた端末本体の返還を求められる可能性が高くなります。これは、自己破産において自己破産で処分対象になりやすい財産が処分されるのと同じ理屈です。

③通信料を滞納している:強制解約と「携帯ブラック」のリスク

機種代金の支払いは終えていても、月々の通信料を滞納している場合も、その滞納料金は「借金」となります。そのため、自己破産によって支払いは免除されますが、契約自体は強制的に解約される可能性が極めて高いでしょう。

さらに重要なのは、料金不払いがある場合、電気通信事業者協会(TCA)の仕組みにより、契約解除後の不払者情報が携帯電話事業者間で交換・加入審査に活用される点です(いわゆる「携帯ブラック」と呼ばれることがあります)。その情報が活用されている間は、他社(格安SIMを含む)でも新規契約の審査が厳しくなる可能性があります。なお、TCAの公表情報では、料金が完済された場合は対象外とされています。

自己破産時のスマホ契約がどうなるかを示した図解。機種代完済なら継続可能、分割中なら契約解除の可能性、滞納中は強制解約のリスクがあることを示している。

管財人は「携帯料金明細」のここを見ています

自己破産を申し立てると、多くの場合、裁判所から「破産管財人」が選任されます。破産管財人とは、申立人の財産を調査・管理し、債権者へ公平に配当する役割を担う弁護士のことです。私自身も、福岡地方裁判所小倉支部から破産管財人として選任され、数多くの事案を担当してきました。

その実務の中で、私たちが必ずチェックするのが「携帯電話料金の請求明細」です。特に、月々の支払額が一般的な通信費に比べて不自然に高額(例えば月数万円)になっている場合、その内訳を調査します。注目するのは「キャリア決済」の利用履歴です。

このキャリア決済の使途によっては、自己破産手続きにおける免責(借金の支払い義務を免除してもらうこと)が認められなくなる「免責不許可事由」に該当する可能性があるためです。

破産管財人としての経験から

私が管財人として担当した案件で、毎月の携帯料金が5万円を超えている方がいらっしゃいました。通信費だけでは考えられない金額です。明細を取り寄せて確認したところ、やはりキャリア決済で毎月数万円をスマホゲームに課金していたことが判明しました。これは、借金の原因が「浪費」にあることを示す重要な証拠となります。このように、携帯料金の明細は、申立人の生活実態や借金の原因を解明するための重要な資料となるのです。隠そうとしても、専門家が見ればすぐに分かってしまいます。

スマホゲームの高額課金は「浪費」と判断されるか?

キャリア決済でスマホゲームに高額な課金を繰り返していた場合、それは破産法で定められた「浪費」とみなされ、免責不許可事由に該当する可能性があります。借金で返済が苦しい状況にもかかわらず、収入に見合わない支出を続けていたと判断されるためです。

しかし、「課金していたら絶対に自己破産できない」というわけではありません。重要なのは、正直にその事実を申告し、心から反省している態度を示すことです。そして、弁護士の指導のもとで家計管理を徹底し、二度と繰り返さないという姿勢を裁判所に示すことができれば、裁判官の裁量によって免責が許可される「裁量免責」が認められる場合もあります。特に、ギャンブルによる借金と同様に、正直な申告が再生への第一歩となります。

キャリア決済の現金化は「換金行為」として厳しく調査

さらに悪質と判断されるのが、キャリア決済を利用した「現金化」です。これは、キャリア決済でAmazonギフト券やゲーム機などを購入し、それを専門の買取業者などに売却して現金を得る行為を指します。

この行為は、債権者を害する目的で財産を不当に減少させる「換金行為」とみなされ、免責不許可事由の中でも特に厳しい目が向けられます。管財人は、不自然な商品の購入履歴がないか、申立人の銀行口座に買取業者からの入金がないかなどを徹底的に調査します。投資の失敗と同様に、一時しのぎの現金化は、自己破産手続きにおいて極めて深刻な事態を招きかねません。

もし、すでに行ってしまったという場合でも、決して隠してはいけません。正直に弁護士に打ち明け、その上で最善の対応策を協議することが不可欠です。

裁判所の手続きに関するより詳しい情報については、以下の資料もご参照ください。

参照:破産・免責手続のあらまし(裁判所)

自己破産後のスマホ契約はどうなる?ブラックリストの影響

無事に自己破産手続きが終わり、免責許可決定が確定した後、スマートフォンの契約はどうなるのでしょうか。ここで重要になるのが「ブラックリスト」の影響です。実は、ブラックリストには2つの種類があり、それぞれ影響が異なります。

自己破産後のブラックリスト影響の比較図。CICでは機種の分割払いが不可になるが、TCAの情報があっても通信契約自体は可能であることを示している。

機種の分割払いは不可【信用情報機関(CIC)のブラックリスト】

自己破産をすると、信用情報機関に「事故情報(異動情報)」として登録されることがあり、クレジットカードの作成やローン契約が難しくなります。保有期間の目安は、CIC・JICCでは原則として「契約終了から5年」です。なお、全国銀行個人信用情報センター(KSC)では官報情報の登録期間が7年に短縮されています。

スマートフォンの機種代金を分割払いで購入する契約は、ローン契約の一種(割賦販売契約)です。そのため、ブラックリストに載っている期間中は、新しいスマートフォンを分割払いで購入することはできなくなります。これが債務整理による生活への影響の一つです。

通信契約は可能だが注意点も【TCAの不払者情報】

一方で、スマートフォンの「通信契約(通話やデータ通信の契約)」自体は、ローン契約ではありません。そのため、CICのブラックリストに載っていても、原則として新たに契約することは可能です。

ただし、前述したように、過去に通信料の滞納によって強制解約されたキャリアや、TCAに不払者情報が登録されている間は、審査が厳しくなる可能性があります。

では、どうすればよいのでしょうか。解決策は、「端末を一括払いで用意し、通信契約のみを結ぶ」ことです。家電量販店やオンラインストアでSIMフリーのスマートフォンを一括払いで購入したり、中古の端末を用意したりすれば、格安SIM会社などで通信契約を結ぶことができます。これにより、月々の通信費を抑えつつ、生活に必要な通信手段を確保することが可能です。

自己破産とスマホに関するよくある質問【弁護士が回答】

ここでは、自己破産とスマートフォンに関して、ご相談者様から特によくいただく質問にお答えします。

Q. スマホの分割代金だけ親に一括で払ってもらえますか?

A. はい、ご本人以外のご家族(親など)が代わりに支払う「第三者弁済」であれば、原則として問題ありません。これにより、端末を手元に残したまま通信契約を継続できる可能性があります。

しかし、絶対にやってはいけないのは、ご自身の財産(給料や預貯金など)を親に渡し、そこから支払ってもらうことです。これは、特定の債権者だけを優遇して返済する「偏頗弁済(へんぱべんさい)」という禁止行為にあたり、免責が認められなくなる重大な事態を招きます。第三者弁済を検討する場合は、その資金の出所などを明確にする必要がありますので、必ず事前に弁護士へご相談ください。この判断を誤ると、自己破産しても消えない借金を抱えることになりかねません。

Q. 家族名義で契約しているスマホも使えなくなりますか?

A. いいえ、ご安心ください。スマートフォンの契約名義人が配偶者や親などご家族であり、その利用料金もご家族が自身の収入や財産から支払っている場合は、あなたの自己破産手続きによる影響は一切ありません。

自己破産は、あくまで申立人個人の手続きです。保証人になっていない限り、自己破産の影響が家族の財産に及ぶことはありませんので、これまで通り使い続けることができます。

まとめ:スマホ問題は自己判断が危険。管財人経験のある弁護士へ

自己破産手続きにおいて、スマートフォンをどう扱うかという問題は、単に「使えるか、使えないか」という単純な話ではありません。機種代金の分割払いは「偏頗弁済」、キャリア決済の履歴は「免責不許可事由」といった、手続きの根幹に関わる重要な法的論点と密接に結びついています。

「スマホを残したいから」と安易に自己判断で分割代金を支払ってしまったり、「バレないだろう」と課金の事実を隠してしまったりすると、免責が許可されないという最悪の結果を招きかねません。

私ども平井・柏﨑法律事務所は、裁判所から選任され、申立人を調査する側である「破産管財人」としての実務経験が豊富です。管財人がどこを見て、何を問題視するのかを踏まえ、あなたの状況に応じたより安全な進め方をご提案します。

機種代金の分割払いが残っている方、キャリア決済の利用に心当たりがあり不安な方は、一人で悩まず、まずは私たちにご相談ください。小倉北区の事務所で直接お会いし、お話を詳しく伺うことで、あなたの人生の再スタートを全力でサポートいたします。遠賀や行橋など、北九州近郊にお住まいの方からのご相談も、もちろんお待ちしております。

信頼できる債務整理に注力する弁護士を選ぶことが、解決に向けた大切な一歩です。

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