自己破産すると家族に迷惑がかかるの?

自己破産すると家族に迷惑がかかるの?

債務整理のご相談を受ける中で、自己破産をすると家族の財産がなくなったり、子どもの進学や就職に不利益になるなど家族に迷惑をかけるのではないか?といったご質問を受けることがとても多いです。

先に結論から申しますと、自己破産をしても、ご家族に直接的な迷惑をかけることはほとんどなく、場合によっては、ご家族に知られずに自己破産をされる方もいらっしゃいます。もっとも、自己破産をすることによって、ご家族に一切迷惑がかからないかというとそういうわけではなく、ローンのある自動車を引き揚げられた結果使えなくなったり、家族カードが使えなくなるなど事実上迷惑がかかることがあります。

今回は、自己破産をしてもご家族に直接的な迷惑はかからないこと、事実上迷惑がかかる場合があることについて、北九州・小倉の弁護士が説明いたします。

1 直接的な迷惑がかかることはないこと

⑴ 家族は返済義務を負わない

自己破産をすると、家族が借金を返済しなければならなくなるのではないか?といったご相談をよくお受けしますが、返済義務を負うのは借り入れをした本人だけであり、もう一方の配偶者・親・子など家族ということだけで返済義務を負うことはありません。

ただし、家族が保証人あるいは連帯保証人になっている場合(例えば、妻が夫の保証人になっている、親が子の保証人になっている)は、注意が必要です。この場合は、借り入れをした本人が支払いをしなければ、家族としてではなく、保証人として返済をしなければならないことになります。

⑵ 家族の資産はなくならない

自己破産をすると、家族の資産もなくなるのではないか?といったご心配をお聞きすることがありますが、資産を失うことになるのは自己破産をするご本人だけであり、もう一方の配偶者・親・子などご家族が資産を失うことはありません。そのため、家や自動車がご家族名義であればそのまま残すことができますし、預金や保険も解約する必要はありません。

ただし、ご家族名義の不動産にご本人の借金の担保として抵当権が設定されている場合については、借り入れをしたご本人が支払いをしなければ、家族としてではなく、物上保証人として不動産を失うことがあります。自己破産をするご本人と自宅などの不動産を共有している場合についても、共有持分の買取りができないようなときは不動産を失うことがあります。

なお、自己破産するご本人も常に資産をすべて失うというわけではなく、一定の要件を満たした資産(福岡地裁管轄であれば、初年度登録から5年経過したハイブリッドではない国産自動車や20万円以内の預貯金や自動車等)を残せる場合があります。

⑶ 家族はブラックリストに載らない

自己破産をすると、家族もブラックリストに載るのではないか?といったご相談もお受けします。ブラックリストに載るとは、個人信用情報に事故情報が登録され、クレジットカードやローンの審査に通らなくなった状態のことをいいます。

しかし、ブラックリストに載るのは自己破産をするご本人だけであり、その配偶者や親、子ども等の家族が載ることはありません(例えば、夫がブラックリストに載ったとしても、妻が載ることはありませんし、親がブラックリストに載ったとしても、子どもが載ることはありません)。そのため、ご本人が自己破産をしても、ご家族はこれまで通りクレジットカードを利用したり、カードローンの借り入れをすることができるということになります。

⑷ 子どもの進学や就職に影響しない

自己破産をすると、子どもの進学や就職に不利益に働くのではないか?と心配される方もおられますが、親が自己破産することは、子どもの進学や就職とまったく関係ないことですので、不利益に働くことはありません。親が自己破産したことを子どもの進学先や企業が独自に把握しようとするということも考えられません。

2 事実上迷惑がかかる場合について

⑴ 破産者名義の自宅や自動車がなくなる

自己破産をすると、自己破産をする方ご本人名義の財産が失われることになります(一定の要件を満たした資産については残せる場合があることはすでに述べたとおりです)。そのため、ご本人名義の家(自宅)がある場合は、任意売却や競売などで自宅を失うことになるので、同居するご家族は引越しをしなければならず、その意味で自宅を失うことがあります。

自動車についても、ご本人名義の自動車に所有権留保が付されていたらローン会社に引き揚げられますし、換価価値がある場合は破産手続内で換価処分されることになるので、その意味で同居するご家族は自動車を失うことになります。

⑵ ライフプランの見直しが必要になる

自己破産をすると、上記のとおりブラックリストに載るため、住宅ローンを組むことができなくなります。そのため、夫(妻)が自己破産してしまうことにより、妻(夫)だけでは希望する金額で住宅ローンが組めなかったり、妻(夫)だけでは住宅ローンを組めないことがあり得ます。その結果、希望する地域や時期に持ち家をもつことができないことがあり得ます。

また、子どもを私立学校に進学させることを希望していたが、夫(妻)が自己破産をしたことにより、妻(夫)のみでは学資ローンの借り入れができず、希望する進学先へ子どもを進めてあげることができないということもあり得ます。

このように、自己破産をすることにより、家族のライフプランに重大な影響を与える場合があります。

⑶ 家族カードが使えなくなる

自己破産をすると、自己破産するご本人のクレジットカードは当然使えなくなりますし、夫や妻に渡していた家族カードも使えなくなります。自己破産をしないご家族がすでにクレジットカードを持っていたり、新たに作成することができれば良いですが、専業主婦(夫)など収入がない方の場合は、クレジットカードを持てないことがあり、日々の生活に不便が生じることがあります。

3 まとめ

以上のように、自己破産をしても、ご家族に直接的な迷惑がかかることはありませんが、事実上の迷惑がかかることはあり得ます。もっとも、上記のような事実上の迷惑がかかる場合であっても、事前にご親族や知人から自動車を借りる都合をつけたり、ライフプランを見直すことで対応できることもあります。

また、上記のように、保証人になっていたり、自宅不動産が共有であったりする場合などは特に注意が必要であり、保証人として返済できる金額なのか、共有持分の買取りが可能なのかなど事前に把握・検討しておかなければならない場合もあります。

しかし、ご本人やご家族だけでは専門知識に乏しく、自分たちが置かれている状況を正確に把握することができておらず、気づいたときには手遅れになっていたということにもなりかねません。

そこで、自己破産手続きを検討されている方、特にご家族がいらっしゃる方は、まずは弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

当事務所は、これまで債務整理手続きを多数取扱ってきましたので、豊富な実績経験があります。また、当事務所では、借金問題でお困りの方に、お気軽にご相談いただけるよう、借金に関する初回相談を無料で行っておりますので、是非、北九州・小倉の当事務所までお気軽にご相談ください。

keyboard_arrow_up

0934823680 問い合わせバナー 無料相談について